君の心臓の音【Dr.STONE】3.5 (ページ15)

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治療室に戻ると、作業台の上に小さいサンドウィッチとそして、英語で『いつでもお待ちしております』と書かれていた。

残すのは悪いと無理してボクが食べて食事が嫌いにならない様にいつも少なめの量で、中身もサラダどドレッシングだけととてもシンプルで食べやすく空っぽの胃に優しく物を置いてくれる。

食べ終わったお皿を返しにレストランに行くとやっぱりまだ明かりが付いていた。

「フランソワさん…」
「お待ちしておりました。お体は冷えておりませんか？温かいスープをお出ししますね」

治療室に少量の食事を置いて、食べたお皿を持って来させるのがフランソワさんの狙いなんだと思う。

「あのっ…フランソワさん」
「どうかなさいましたか」
「ボクが育ててるハーブが役に立ったりしないかなって…」

畑から先程取ったハーブと、今朝作ったガムシロップと猪の皮でゼラチンの入った瓶を渡す。

「…良かったら料理に使ってください、いつもご迷惑をかけてるので」

温かい物を提供したい。
ただそれだけの理由でいつも不規則なボクにフランソワさんは合わせてくれている。

フランソワさんの負担になるから大丈夫だと言ってもフランソワさんはボクが食べに来るのをずっと待ってくれている。

だから食事をサボる頻度はかなり減った。
食べる量は別として、ちゃんと朝昼晩時間がずれてもちゃんと食事を取るようになった。

「…いつもありがとうございます」

1日の必要最低限の量は出されるが、ボクの胃に合わせて全て少なめにお皿に装ってくれる。
食欲のある時はボクの顔色を伺いながら追加でお皿に食事を入れてくれる。

「お気遣い感謝いたします。お一つ試したいメニューがございます。A様が宜しければご賞味いただけませんでしょうか」

「えっ…ボクにですかっ…えーと…感想とかあんまり得意では」
「お構いなく、ぜひA様に食べて頂きたい一品がございます」

少し慣れたが、やっぱりフランスさんの接客用語は頭で理解するまでに少し時間がかかり、返事に戸惑う。

気の利いたことなんて言えないよ……と不安を募らせているボクにフランソワさんが出してくれたのは、赤い果肉が入っている淡いピンク色の飲み物で、上には先程ボクが渡したミントが添えられていた。

「スモモのスムージーでございます」
「えっ…スモモ？」
「スモモがお好きだと羽京様からお伺いしております。食べに来られた際にぜびお出してして欲しいと」