君の心臓の音【Dr.STONE】3.5 (ページ14)

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「…グッズ」

気持ちが落ち着くまでは誰にも会いたくないと思い治療室にフウタの訓練をしてくると心配されない様にメモを残して森に身を潜めた。

泣いてるボクをずっと励ます様に髪を一生懸命毛繕いしてくれたり、涙を拭く様に頬に体を擦り付けてくれるフウタ
をそっと抱きしめる。

「もう、大丈夫ありがとう…」

やっと涙が止まりずっと励ましてくれたフウタにお礼を言って深く深呼吸をする。

「ギャンギャン」
「ん？」

見て!見て！と言う様にフウタは鳴き一本の立派な木にとまる。

「いつもここでフウタは寝てるんだね」
「ギャン」

ぽっかりとフウタが入れそうなぐらいの大きな穴が空いてあり、木に登って中を見を覗かせてもらう。

自分で取ったのか木の実やボクがいつも取っている薬草やキノコなどいろんなものが入っていた。

「えっ？くれるの？」
「ギャン」
「ありがとう」

殻が付いたままのクルミを渡され、素手では割れないから後で食べると言うボクにフウタはもう一つクルミを出すと嘴で砕きボクにくれる。

「ギャンギャン」

ちゃんと食べろと言う様に巣穴から沢山木の実やキノコなどを出してはボクの手のひらに落とす。

「フウタは優しいね、ありがとう」

こんなに食べれないと伝えてもどんどん手にありったけの食べ物をおいてくれる。

「…ありがとう」

フウタがいてくれて良かったと、一人だとどうしていいか分からなかったと伝えてもらったクルミを口に入れる。

「美味しいよ、ありがとう…」

フウタの優しさが沁みてまた泣きそうになる。

「ちょっと待ってね」

木の上で弓を構えてフウタが好きなネズミが通るのを待つ。

夜のネズミもボクと一緒で目が光る。
カサカサと木の葉を駆け回る音を頼りに場所をある程度特定して、光る目を見つけて弓を放ち当てる。

「フウタおいで」

弓の先端は丸くなっているためネズミには貫通しないが、当たった衝撃で意識を失っている。

「ギャン！」

フウタは昔の怪我のせいで自分ではネズミなどの狩は困難で、こうしてボクが捕獲しては与えている。

嬉しそうに食べてる姿を見てると自然と笑みが浮かぶ。

『A』

羽京さんに名前を呼ばれた気がしてじわっとまた目に涙が溜まる。

「…そろそろ戻ろうか」

もしかしたら誰かが心配しているかもしれないとAは顔を川で洗いフウタと重い足で村へと戻る。