君の心臓の音【Dr.STONE】3.5 (ページ13)

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今朝はタイミングが悪かったんだと気持ちを切り替え、夕食前の忙しくなさそうな時間に羽京さんを探す。

「う、羽京さん！」

緊張して声が裏返りそうになりながらも作業台の椅子に座って弓の手入れをしている羽京さんに駆け寄る。

「どうしたの？」
「あ、あのっ…」

話す内容を考えていたのに緊張して全部頭から飛んでしまい戸惑っていると、羽京さんは展望台の方に顔を向ける。

「龍水なら今展望台に一人でいるよ」
「えっ…」
「ほら、Aの事気にしてそうだし行っておいでよ」

気に掛けてくれてるのは…ボクが羽京さんと話せているがで…
チラッと龍水さんに助けを求める様に目を向けると、持っていたコップをツンツンと指さし話す内容を思いださせてくれる。

一緒にシュトーレンを食後に食べようと誘おうと羽京さんに声をかける。

「羽京さんあのっ…」
「あまり二人でいると恋人だって誤解されるよ」
「！！！！」

迷惑だとでも言うように困った顔で羽京さんにそう言われてしまい、目の奥が熱くなり心臓がズキズキと痛み泣きそうになる。

やっぱり…迷惑だったんだ。

隣にいたら……恋人だって誤解されたくないんだ…

あの時の言葉は……

恋人としてではなくて……
ただの仲間としてだったんだ……

勝手に期待して…
勝手に舞い上がって…

「A…？」
「ごめんなさいっ…」
「えっ…」
「っーー…ごめんな…さぃ」

勝手に傷ついて…これ以上羽京さんを困らせたくない。
震える声で謝り涙が落ちる前に走って治療室に逃げ込む。

嫌われる事には慣れているはずなのにな…
避けられる事も…迷惑がられる事も…よくあったのに…

椅子に腰掛けて机にうつ伏せになり落ち着こうとするが、さっきの言葉がずっと耳に残ってる。

「うっ…」

声を殺して泣いているとフウタが窓から入って、どうしたのか心配する様にボクの頭を軽く突く。

「…嫌われちゃった…羽京さんに…」

心配かけない様に顔を上げて笑って言ったつもりだったが、その言葉を口にするとギュッと喉と胸が何かに締め付けられ苦しくなり声が出なくなる。

ポタポタとボクの頬から落ちる大粒の涙が机に溜まっていくのを見てフウタは戸惑う。

「どうしよぉっ…」

フウタに聞いても困らせるだけなのに…

「明日から…どんな顔して…羽京さんに会えばいいかな……もう羽京さんとは話もできなく…なるかもっ…嫌われちゃった…」

「ギャンッ…」