君の心臓の音【Dr.STONE】3.5 (ページ12)

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龍水さんに軽く背中を押してもらい羽京さんに勇気を振り絞って駆け寄るが…

「羽京さんっ…おかえりなさい」
「ただいま、龍水とお仕事？」
「えっ…いやっ…そう言うわけでは……そ、相談に乗ってもらっていて…」
「そうなんだ、龍水は頼りになるからね」
「えっ…あ、っはいっ…そ、のっ…」

龍水さんの話じゃあなくて…いつもみたいに…

「じゃあね」
「えっ…」

いつもなら「何もなかった？」って心配してくれたり…
何が取れたとか…
探索の事沢山話してくれるのに…
まるでボクから避けるようにすぐに羽京さんは千空さんの元に行ってしまう。

「……」
「A探索の話聞かせてやる！」
「あ、ありがとう…」

行く前の約束を覚えてくれていたクロムから探索での話を沢山聞かせてもらう。

「それでよぉ！バー!ってよぉ！温泉が噴き出てよ!それでよぉ！」

温泉が見つかった事や、変わった鳴き声の鳥や、ボクが欲しがっていた薬草が大量にあった場所なんかを教えてくれる。

いつも羽京さんから聞いている話をクロム君から聴きながら羽京さんは何をしているか横目で見る。

カメラ欲しさにカセキさんが新しく作ったスチームゴリラ号に乗って村に来た南さんと楽しげに話していた。

「シンプルだけど難しいわね、ピントを合わせるのがねぇ…」
「南ちゃんには少し重いだろうし、台でも作ってもらったら？」
「そうね、羽京君作ってよ」
「作るなら作ってあげたいけどーー…」

そういえば…羽京さん…南さんだけ〝ちゃん〟付けで呼んでいる。

歳も近いし2人で並んでいると恋人どうしに見えるな…

自分が羽京の隣に立ってあんなふうに話してる所を想像しても面倒見のいいお兄さんに懐いてる子供にしか見えない。

「どうしたA？」
「ご、ごめんっ！話してくれてるのに…」
「お、おう？」

ため息を吐いてしまい咄嗟に謝るボクに疲れたならなんか食うかと勧められるが…

「今は大丈夫…」

羽京さんの事で頭がいっぱいで食べる気力が湧かない。
探索に行った自分達より疲れた顔してるとクソほど仕事忙しかったのかと心配かけてしまう。

「うんうん…ちょっと…食欲なくて…」
「おぉ、それはヤベェなまた明日から探索行くからよ、そん時スモモあるか探してやるよ」

明日も行くのかと驚くボクに日帰りのただの食料調達だと言われホッとする。

「明後日にはまた遠方に出るみてぇだけど」
「えっ！？」
「マジで早くしねぇと雪降りそうだからな」