君の心臓の音【Dr.STONE】3.5 (ページ1)

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「ほんとに暗いな」

背の高い龍水が入ってくると天井が低く感じるなとAは思いながらも、自分の持っていたランタンと予備のランタンを2人に渡す。

「電球の在庫が二つしかなくて、ランタンで足元照らしてください」

ポツンと電球が二つ頑張って部屋を照らしてるが、光は弱く広がりもあまりない。
ほんとに気持ち程度の心持たない光に2人はランタンを持って視界を照らす。

全体は見えないがかなりの広さがあるなと船乗りの感で龍水は当てる。

「治療室の倍の広さがあります。極寒期をのぞいてここは15度から20度を常に保てます」

まるで図書室の様にずらっと棚が並び様々な物が棚に置かれているのを龍水とフランソワはランタンを照らして確認する。

「凄い数の瓶だな、一体何が入ってる？」
「貯蔵庫のほとんどは保存食ですね。他には芋類や穀物、植物の種や香辛料などいろいろですね」

薄暗く二人にはなんとなくでしかランタンを持っていても見えないが、Aは手ぶらで平然と薄暗い貯蔵庫を歩き、何処に何が保管されているか指を指して2人に伝える。

「ここにもワインがあるが、さっきの棚のワインと何か違うのか？」
「そこの棚のワインは去年の10月に作られた物です。先ほどのは今年の物です」

その隣のビンには今年の5月に収穫したはちみつが保管されていると、他の瓶を見ながらA話す。

「A様は何を目印にして、食品を確認しているのですか」

棚や瓶にはどれも特徴がなく、日付や字すら書いていない。
何を見て判断しているのか尋ねるフランソワにAは覚えているとだけ伝え2人を唖然とさせる。

「これほどの量をお1人で管理されているのですか？」
「今はそうですね、始めは千空さんが管理してくれてたんですが…押し付けられました」

あはは、と苦笑いを浮かべながらAは棚から人の頭ぐらいある瓶を三つほど取り出す。

「その瓶はなんだ」
「これは去年作ったイノシシの瓶詰めです。ボタン肉と日本では言うのですよね？」
「去年の肉！？冷凍していないのに腐らないのか！？」
「脱気をちゃんとしてれば常温でも長い期間保存が可能です」

食べる時は念のために火を通してもらっているが、通さなくても食べれるとAは伝える。

「寒い地域でよく使われた保存方法です」

ちゃんとしているとフランソワは完璧な保管方法だと瓶に保管されているボタン肉を見て目を光らせる。