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「っ…」
頬の上を何かが動き回る感覚にAは目を覚まして咄嗟に飛び上がる。
「っ…痛いっ…頭がぐらぐらするっ…」
窒息死させられそうだったとAはまだズキズキ痛みボーとする頭に手を押さえ、先ほど何かが触れていた頬にも手を置いた。
「何もないっ……早くここから離れないと…」
自分を回収していないという事は、アマリリスをまだモズが追っている可能性が高い。
Aはゆっくりと体を起こし歩きにくい石のヒールを脱ぎ捨て、急いでアマリリスの集落へと向かう。
「はぁっ…はぁっ……」
千空と同じぐらい体力のないAは8キロもある険しい道なりを裸足で草木をかき分けながら必死に走り続ける。
「っーー!!」
足がまた上がらなくなり倒れ、酸欠でフラつく足で木にしがみついて起き上がりフウタを呼ぶ笛を加えるが…酸欠で上手く笛すらも鳴らせない。
「!!!!!!」
モズの姿を遠くに見つけAは咄嗟に屈む。
「っ…」
見つかったら本当に終わりだ…
「!!」
目の前の木の幹に人がギリギリ入れそうな穴が空いている事に気づき咄嗟にその中で息を殺す。
中は人が横になれば入れるほどのスペースまであり、小さくてよかったとAは初めて自分の体内に感謝する。
カサッ カサッ……カサッ
足音が聞こえる…
ガザッガッサッーー
もしかして近づいて来てる…
ガザッガザッ
だんだん音が大きくなり、草木をかき分ける音が荒っぽくなる。
ガザッガザッガサガサガサガサ
バレてる!!!!
近くにいると気づき必死に探してる!!!!
「っ〜〜〜〜〜…!!」
もう見つかったら終わりだと、薬品も全て使い果たし抵抗する力も何も残ってないとAは先程首を絞められ殺されかけた事を思い出し、震え声が出そうになるが、必死に口股を手で押さえる。
ガザッ……
木の幹の前で足音が止まり恐怖のあまり助けを呼んでしまう。
「羽京さん助けて…」
「A!!」
「!!」
木の幹から顔を覗かせていたのは羽京で、Aと目が合うとお互いに目に涙を溜める。
「っー!!」
木の幹からAは飛び出し羽京に縋るように抱きつく。
「うきょうさんっ…羽京さんっ…」
まだ恐怖でまともに声が出ないAを羽京は強く抱きしめて優しく背中をさする。
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ヌ(プロフ) - あんあんねこさん» あんたんねこさん!コメ気づかなくてすみません!!いつもありがとうございます!!あんあんねこさんもお身体にお気をつけて(T ^ T)❤️ (1月10日 13時) (レス) id: 079dd1f50d (このIDを非表示/違反報告)
あんあんねこ(プロフ) - 新しい絵、とっても素敵です!!!!この作品ほんと大好きです!!!鼻血もんですね😭最近寒いので体調気をつけてください!更新楽しみです〜〜🫶 (12月26日 0時) (レス) @page36 id: e4067c9f32 (このIDを非表示/違反報告)
ヌ(プロフ) - ねねさん» うわあああは、恥ずかしい!!一年前からっ!!ありがとうございますめちゃくちゃ修正してるのに!そんなずっと愛読してくれてるなんて…ありがとうございます泣 (12月21日 12時) (レス) id: 079dd1f50d (このIDを非表示/違反報告)
ねね - 新しい絵が増えてる!!表紙絵とっても可愛いですね!クリームさんの作品は約1年ぐらい前に見させてもらっていて最近更新されているのがとっても嬉しいです! (12月21日 5時) (レス) @page1 id: 85be73129f (このIDを非表示/違反報告)
クリーム(プロフ) - greenさん» コメントありがとうございます!わー🥲とても嬉しいです!!お心遣いありがとうございます (6月2日 19時) (レス) id: 58b85f6ce7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:クリーム | 作成日時:2022年8月1日 18時