忘れたくない ページ18
「っーーー…凄く…嬉しくて…ボクにはそれは……スモモを…食べなくても…すごく…すごく…甘くて…優しく…感じたんだっ…嬉しかった…凄く…今でも…」
「特別なモンってヤツは嫌でも忘れねぇから安心しろ」
「っーー…うん…ありがとうっ…」
落ち着いたAは俺からもらった石を見てもう一度お礼を言うと笑顔を作る。
「この石にも名前があんのか?」
「これはスピネルです。もともとは白ぽい透明な鉱物でクロムが混ざると赤やピンクに発色するんです」
俺と同じ名前の石か何かのおかげでこの石がスモモっぽくなったって事か…
「偶然が重なっててすげぇな」
「そうですね、これ…本当に頂いても…いいの?」
「あぁ!お前にやろうとして持ってきたヤツだぜぇ!素材でもなんでも好きに使え」
そう言うとAは嬉しそうに石を胸に当てる。
「今日のこと…ボク絶対に忘れたりしません」
「忘れても良いぜ!その時はAにもっと良い思い出ができたってことだろう」
そう言うとAは瞳に俺を写してグッと唇を噛む。
「それでも!!ボクは忘れないよ!!ボクにとって今日は凄くすごく嬉しくて…何もかもが初めてで…本当に嬉しかったから…」
「じゃあ忘れねぇな!俺も今日の事は忘れねぇ自信がある」
そう笑って言うとAが初めてちゃんと俺と二人の時に笑った。
「歩けっか?」
「はい、暗いからボクが前を歩きます」
「何があったら危ねぇだろ、手怪我してんだ俺が前を歩くぜ」
「でも、クロム君も危ないよ…見えてないですよね…」
そう言われて雲母ランタンを前にかざすが…たしかに全く見えない。
「心配ねぇ!何となく見えんぜ」
そう言って前を歩こうとすると服を掴まれる。
「もう自分以外の人が落ちるの嫌ですっ…千空さんも…マグマさんも…クロム君も…守れなかった…友達が…危ない事するのは…イヤダ」
「それは俺も同じだぜ」
Aの腫れていない手を貝殻みたいに握ると分かりやすく驚く
「これならお互い躓いても支えられるな」
「!!」
「やべぇ道をダチ一人でなんて歩かせねぇよ。一緒に歩くのがダチや仲間だろ」
そう言うとAは嬉しそうに頷いた。
「よし行くぜっ!!」
「っーー…クロム君足元」
そう言ってAはギュッと俺の手を握って軽く引っ張る。
「んっ?うおっお!」
雲母ランタンを照らすとデカイ石が転がっていて、言われていなければそのまま足をぶつけ躓くところだったと肩でホッと息をするとAは笑う。
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クリーム(プロフ) - 天月 リーズさん» どのパスワードでしょうか!?ドクターストーンはただいま作成中でございますのでもうしばらくお待ちいただけると助かります!他の作品は…いつか…書き直して外しますのでお待ちください! (8月11日 21時) (レス) id: 58b85f6ce7 (このIDを非表示/違反報告)
天月 リーズ(プロフ) - パスワードを教えていただけますでしょうか。 (8月10日 9時) (レス) id: 3a5ca4d55b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:クリーム | 作成日時:2022年7月1日 18時