__騎士王と姫 ページ49
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その日の夜。
私は一人、屋上で星を見ていた。
…今日は本当に星が綺麗だ。
屋上は風も涼しくて心地よい。
アーサー「A、ここにいたのか。」
背後でドアの開く音がし、アーサーが屋上に
来た。
『アーサー！今日は天気がよくて、星がよく
見えるから。』
アーサー「星か…確かに綺麗だ。」
そしてアーサーは私の隣に立った。
『一応、私も第三世代になったんだよね…。
またアーサーにも訓練つけてもらおうかな。』
アーサー「俺でいいのか？
…まぁ、お前がいいのなら。」
そう言ったが、アーサーはふとこちらを向いて
言った。
アーサー「…だが、俺はお前を守りたいんだ。」
『え…？』
アーサー「お前が強くなるのは良い事だ。
だが…たまには、俺に守られてろ。大事な人を
守るのが騎士王だ。…そうだろ、俺の姫君？」
『…！』
曇りのない瞳がこちらを見つめている。
真っ向から“姫君”と言われ、顔が赤くなって
しまった。
『…なら、私もアーサーを守れるくらいに強く
なるよ！』
アーサー「それでは騎士王たる俺の立場が……
いや、いい。それでこそお前だな。」
アーサーはそう言って笑った。
そんなアーサーを見て、私はずっと気になって
いた質問をする。
『……ねぇ、アーサー。私はあなたの理想に
なれた？』
アーサー「理想？」
『前に森羅から聞いたんだ。アーサーの理想は
「ガラスの靴とティアラが似合う人」だって。私じゃ、そんな…。』
そう私が弱気になっていると、アーサーは
あっけらかんと答えた。
アーサー「…俺はお前が好きなだけだ。
それに、お前なら何でも似合うと思うぞ。
気にするな。」
『そうかな。…ふふ、ありがとう。』
そして、アーサーは手を差し出して言う。
アーサー「そろそろ部屋に戻るぞ。
一緒に行くか、A？」
『うん、アーサー！』
アーサーの手を取り、私は中へ入った。
……アーサーのために強くなりたい。
煉合能力者として、アーサーの恋人として。
私は、これからもこの第８特殊消防隊で消防官として生きていく。
人体発火現象の解明、人工焰ビト……問題は
山積みだ。
けれど、第８のみんながいるなら……
アーサーがいてくれるなら、きっと解決できる。
そう、確かに思えるから。
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作者名：九陽 | 作成日時：2020年9月21日 9時
