騎士王と姫【炎炎ノ消防隊】 (ページ43)

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『ここ…は……』

ここは一体どこだろう…。

さっき焰ビトが居た部屋とは違う。

『あ……私、攻撃を受けて飛ばされたんだ…。
……うッ…！！』

思わず咳き込んだ。

…喉が痛い。

飛ばされてから暫く気を失っていたようで、
その間にかなりの量の煙を吸い込んでしまった
らしい。

『まずは、鎮火を…ッ、』

能力を使って鎮火しようと試みる。

でもこの火力…なかなか消せない…！！

その上、煙を吸い込んだせいで体力がかなり
落ちている。

『はぁッ、はぁ……』

頭痛がしてふらついた私は、そのまま床に倒れてしまった。

『前が…見えないな……』

…あの焰ビト、すごい火力だった。

きっと鎮魂に時間がかかるだろう。

ともすれば、このままこの家が崩れてしまうかもしれない。

そうなったら、私は……

第二世代は死なないわけじゃない。

現にこうして炎に巻かれて煙を吸い込み、体力を奪われることもある。

そんなことを考えていると、何故かアイリスさんの祈りが思い出された。

『…炎ハ魂ノ息吹、黒煙ハ魂ノ解放…
灰ハ灰トシテ、其ノ魂ヨ…炎炎ノ炎ニ帰セ……
ラートム……』

祈りを口にしたって、何も変わらないけれど。

ふと腕を見ると、消防服からチリチリと煙が
上がっていた。

そして私の周りは炎に包まれていく。

あぁ、第二世代が情けない。

炎に耐性があるはずなのにな。

『何か…アーサーに会いたいな……』

アーサー。

“軍隊ポロネーズ”、もう少しだったのに
完成させられなかった。

それに、あなたが好きだって気づいたのに。

言えないままなのは悔しいかな…。

もし太陽神が見て下さっているなら、祈りを
唱えたことを評してアーサーに伝えてほしい。

『…伝えられなかったけど…ずっと好きだった。
さよなら、アーサー。』

視界が霞む中、そう呟いた。

頬を伝う涙も、すぐに蒸気となって消えていく。

炎の熱すらだんだんと感じなくなっていき、私はそっと目を閉じた。

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