炎炎ノ炎 ページ41
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茉希「うーん……」
「ん？」
礼拝堂の前を通りかかったとき、そこには壁に隠れながら中を覗いている茉希さんがいた。
「茉希さん、どうしたんすか？」
茉希「あっ、森羅！ちょっと静かに…！」
「？」
何が何だか分からず、俺も同じように中を
覗いてみる。
中に居たのは……
アーサー「お前、日に日に上達してるんじゃ
ないか？」
『ありがとう、アーサー！でもまだ完成までは
もう少しかな…。』
こちらには気づいていないが、楽しそうに話すアーサーとAがいた。
「アーサーとAじゃねーか。」
茉希「そうなんですよそうなんですよ〜！」
「何でそんな楽しそうに…？」
茉希「だって見てくださいあの二人！
まるで恋人です！」
「Aは分かりやすいですよね…。」
いつもアーサーと喋ってるし、アーサーと居る時はずっと笑顔だし。
茉希「…そうだ！森羅から見て、アーサーは
Aの事どう思ってると思います？」
「そう言えばあいつこの間、“Aを守りたい”って…！」
茉希「なら両思いじゃないですか！！」
「うーん、でもあいつバカだからなァ…。」
Aのこと好きだ、って自覚してるかどうかは怪しい。
ってか二人きりとか、見てるこっちが照れて
くるじゃねェかよ…！！
そう考えて目を反らした、その時。
「警報…！！」
突如教会内に鳴り響く警報。
茉希さんと顔を見合せ、頷いた。
……出動だ。
───────
桜備「秋葉原地区の民家で焰ビト発生！
焰ビト化したのはそこに住む男性だ！
皆、マッチボックスに乗れ！！」
私を含む７人で出動する。
火華さんの協力により、人体発火現象の中には
人為的なものがある事が分かっている。
しかしそれ以上の事が分からない今は、コアを
殲滅して鎮魂するしか方法はない。
解決策がそれしかなくて悔しいけど……
毎日訓練してるし、きっと鎮魂できる。
火縄「大隊長、現場に到着しました！」
『…！？』
だけど、現場の凄惨さは私の想像を遥かに
越えていた。
真っ赤な炎が空を舐める。
民家は痛ましい程の音を立てて燃え、地面には焦げた木片が転がっていた───。
桜備大隊長が叫ぶ。
桜備「第８特殊消防隊、突入するぞ！」
「「「はい！！」」」
この時の私は、本当の炎を───“炎炎ノ炎”を
まだ知らなかった。
知らなさすぎたんだ。
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作者名：九陽 | 作成日時：2020年9月21日 9時
