軍官の休日/ Olv.E ページ20
×
絶妙な色のハーモニーが絡み合うこの時期の朝は特別である。虜になる様な紅茶の香りが室内に広がって思わず幸せな気分になった。今日は久しぶりの休日。気分転換とリラックスも兼ねて気に入っているミックスベリーのフレーバーティーを淹れてみた。カシスの甘い香りがやや強い。ブルーベリーの爽やかな甘味が楽しめるとの事だった。
「デイヴ。少し良いかしら。」
「Aくんですね、どうぞ。」
丁寧に四つドアの叩かれる音がした後にスクワランの様にしっとりとした声が聞こえた。入室を促せば、扉から極彩色の美しい女性が滑り込んで来た。彼女は平たく言えば、仕事仲間である。彼女もまた教鞭を振るう(比喩では無い)、立派な教授であった。
「おはよう。朝の時間にごめんなさいね。」
「おはよう御座います。いや、気にする事では。」
ぷるり、とうるおった唇から蜂蜜の甘い声が奏でられる。艶やかな声に頬が緩んで、彼女の為にカップを用意する。彼女がよく訪ねてくる所為でこれも彼女専用になってしまったなぁ、と思いながら、薬缶のお湯を杯に注ぐ。こうして温める事により、更に美味しくなるのだ。
茶葉はデリケートな物であり、扱いを間違えると不味くなる。だから工程を雑にしたり、飛ばしたりすると美味しく紅茶を飲めなくなるのだ。彼女は僕が勧めた椅子に座ると姿勢を正し、手指を卓上に置き丁寧に揃えている。若い時は領主様にお仕えしていた過去があると本人の口から語られた事もあり、その影響だろう。
「ミックスベリーの紅茶ですよ。」
「ご丁寧にありがとう。」
ふっくらとした唇が囀る様にお礼を述べた。うるおった血色の良い唇は控えめにも関わらず形の良さを窺わせる。確かに彼女はやや童顔でありながら長い睫毛に目元が覆われる所為であまり瞳がよく見えず、いつも瞼を閉じている様に見える。
だから余計に唇が印象的に映るのかもしれないと思った。彼女の表情や感情を読み取るのは容易では無い。彼女は勧められた紅茶に瓶から蜂蜜を取り出して掻き混ぜる。仄かな甘味に執着しているらしい。万人が愛する様な可憐に色付いた薄桃の肌は白象牙によく透ける。優しく幼い印象に染み付いた庇護欲が頭を出した。
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
- 健康運: ★★★★★
- 全体運: ★★★☆☆
191人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
鵯(ひよどり)(プロフ) - イズミさん» お初お目にかからせて頂きます。ご愛顧賜れて何よりで御座います。リクエスト承りました。緩慢に連ねておりますので3日〜1週間程お時間頂戴する事、ご承知おきくださいませ。 (2022年11月29日 21時) (レス) id: 9c96610dd1 (このIDを非表示/違反報告)
イズミ(プロフ) - 初コメ失礼致します。鵯様の作品の何とも言えない美しさの虜になった者です。リクエストでskngさんで束縛タイプのヤンデレは可能でしょうか…?その他のシチュエーション等はお任せ致します。 (2022年11月29日 18時) (レス) id: 58fc769308 (このIDを非表示/違反報告)
鵯(ひよどり)(プロフ) - 煙さん» 此方こそ大変有難うございました。そういう表現は旗付きにならない様にする事が出来ませんでした。無念。妄想で補ってくださいませ。大変申し訳ない。微力ながらも精進して参ります。よろしくお願いします。 (2022年11月20日 23時) (レス) id: 9c96610dd1 (このIDを非表示/違反報告)
煙 - リクエスト書いてくださりありがとうございます…!実物の彼はヤンデレチックな素振りをあまり見せないので難しいかなぁと思っていたのですが、見事に解釈一致で助かりました。これからも貴方様の美しい小説を楽しみにしております! (2022年11月20日 22時) (レス) id: 0f6ec90c76 (このIDを非表示/違反報告)
煙 - いつも主様の作品楽しく読ませていただいております。リクエストなのですが、夢主が少し病み気質で手首に傷をつけたりしてしまうタイプで、夢主大好きなkgmさんがおそろいにしたくて真似しちゃうみたいなお話をお願いしたいです。 (2022年11月16日 17時) (レス) @page1 id: 0f6ec90c76 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ