花瓶の薔薇 ページ44
※本作であまりヤンデレがなかったので、突如として挿入しときます。供養。
日の差さない空間。けれど衛生はきちんと守られていた。いかにもお姫様といったような白いベッド。所々に装飾が施されていて中々に凝ったものであることが伺える。中世に出てくるような四つ足のベッドで、白いレースの天蓋がこの空間の主の為に小さな星を降らせている。
主たる少女は目を閉じたり、開けたりしながら欠伸を噛み殺していた。四肢には拘束具と思われる枷が嵌められている。彼女はただ力を抜き、体重をベッドに預けている。
レースがふんだんに施された寝巻きは高級そうでまるでお姫様のような服装だ。そうして単調な動作を繰り返していれば部屋の戸が音を立てて開く。
「おはよう。」
部屋に入ってきた青年は湯気のまく朝食を持って部屋に入ってきたようだ。少女は彼を一瞥するだけした。彼に微笑むようなことはしない。ただ汚された衣服を煩わしそうに脱ぎ、彼を求めた。
「シャワー。」
「はいはい。」
彼は少女に寄り、嵌められた枷を解除する。そうして軽々と抱き抱えて浴室へと向かった。浴室についても尚、彼女はされるがまま。着せ替えでもするように衣服を脱がされ、シャワーまで運ばれる。
「お湯だすね。」
「…」
少女は彼に任せきりでただ座っているだけだ。渇いた癖のある黒髪にシャワーの雫が伝う。彼はまるで花に水やりするようにシャワーを少女に振りかけた。彼女の髪は静かに流れてじっとりと濡れる。
そうして体を隅々まで洗われる。少女は不快感をかんじていないのか顔を歪めることはない。タオルで水分を拭き取られ、下着から順に着せられる。何着もある寝巻きのうちの1着を彼に着せられる。
丁寧に髪を手入れされ、綺麗に編まれる。男性は気が済んだのか、彼女を抱えて先程の部屋へ戻った。未だに湯気の立つ朝食の前に少女を座らせると、彼女専用の白塗りに薔薇の装飾が施された豪華な塗り箸で、具を一掴みして彼女の口元に運んだ。
静かな空間。人形のように静かに佇む少女はこのアンバラスな空間の異常さにさらに拍車をかけている。まるで花瓶に生けられた一本の薔薇のように。ただ枯れゆくのを待つだけに存在する。
花弁が一枚、匂いを纏って落ちていく。
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
- 健康運: ★★★★★
- 全体運: ★★★☆☆
2人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
(´・ω・`)Love(プロフ) - 鵯さん» リクエスト消化してくださりありがとうございます!流石鵯さま、期待以上のお話が読めて嬉しい限りです。良ければまたリクエストさせてくださいね。ありがとうございました! (2017年12月29日 19時) (レス) id: e516045fa3 (このIDを非表示/違反報告)
鵯(プロフ) - (´・ω・`)Loveさん» 大丈夫ですよ。ありがとうございます。気長にお待ちくださいませ。 (2017年12月28日 21時) (レス) id: 10532b6a12 (このIDを非表示/違反報告)
(´・ω・`)Love(プロフ) - 鵯のさえずりというページは消されたみたいですけど、リクエストってまだ受け付けてますか?もし大丈夫でしたら飴の出てくるほのぼのとしたお話が読みたいです!……こ、こういうリクエストも平気ですか? (2017年12月28日 10時) (レス) id: e516045fa3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:鵯 | 作成日時:2017年12月20日 18時