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空気ごと閉じ込めて ページ35

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大学生である私は休講時を利用してある一室へ赴く。本日は大学は実質的に休日である。何故か。それは教授や博士の方々の研究を普段より行いやすくするように、また生徒に実験の被害が飛ばないようにという配慮を基にこうして休講日が我が大学では制定されている。

私はそれを尻目に誰もいない図書室へと足を運ぶ。本日は休講日で図書館も必然的に閉館のはずだ。それなのに足を運ぶ理由。それは、私がお慕いしている教授がそちらにいらっしゃるからだ。

図書館の扉の前に行けば既に鍵は開いており、彼が図書館内にいることを示している。胸の高鳴りと緩む頬を意識し、携えた諸手に抱えた本を握り直し、扉を潜った。図書館という割には陽が柔らかく窓から伝って溢れ落ちる。

「よくいらっしゃいました。それではお席にどうぞ。」


彼はそう言って彼が先程まで座っていたであろう、席の隣を引いた。素朴な木の椅子は端正な所作でするりと引き抜かれる。自然でありながら磨き抜かれた動作。

「ありがとうございます。」


私は彼にされるがままに腰を下ろした。彼はその後隣へ移動するとそちらへ再度腰掛けた。彼に抱えていた本を見せる。彼は嬉しそうに私に本の感想を訊く。彼は愉快そうに私の話に耳を傾ける。そうして彼にもまたいくつかの質問をし返すのだ。それは師と子。先生と生徒という縮図を見ているようだ。私は先生に本についての解説をこうして時間があるときに聞きに来ている。

彼は稚児のように無邪気に本について語ってくれる。そうして他には見せない、彼の一面を独占しているこの時間が尊くてそして掛け替えのないほど大切だった。

「ちょっと失礼します、業務連絡が。」


彼はベストのポケットにしまいこんでいた携帯を取り出してちらりと確認する。仕方ない。彼だって教授なのだ。一応研究員だから仕方ない。たまにこうして連絡が入り、話が中断する。そうして彼が業務に駆り出されている間、もう一度彼のアドバイスを生かし、復習がてらに読み返す。

嫌いではない。嫌いではないのだ。嫌いではないのだけれど。彼は携帯から業務連絡を飛ばして受話している。

「分かりました。すぐに行きます。」


そう言って彼は電話を切った。




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(´・ω・`)Love(プロフ) - 鵯さん» リクエスト消化してくださりありがとうございます!流石鵯さま、期待以上のお話が読めて嬉しい限りです。良ければまたリクエストさせてくださいね。ありがとうございました! (2017年12月29日 19時) (レス) id: e516045fa3 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - (´・ω・`)Loveさん» 大丈夫ですよ。ありがとうございます。気長にお待ちくださいませ。 (2017年12月28日 21時) (レス) id: 10532b6a12 (このIDを非表示/違反報告)
(´・ω・`)Love(プロフ) - 鵯のさえずりというページは消されたみたいですけど、リクエストってまだ受け付けてますか?もし大丈夫でしたら飴の出てくるほのぼのとしたお話が読みたいです!……こ、こういうリクエストも平気ですか? (2017年12月28日 10時) (レス) id: e516045fa3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2017年12月20日 18時

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