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三十一日 ページ27

※年越し企画




年の瀬だからといって何があるわけでもなく。淡々と過ぎていく日常。生憎の曇天だし、軽く小雨が空間に溶けている。野暮ったい近所に出るのも億劫でこんな日は炬燵で蜜柑が一番だ。炬燵布団の中に素足を突っ込み暖をとる。

木目調のテーブルが汚れないようにティッシュを敷き、その上で蜜柑を剥く。白い維管束ごと口に含めば中々の歯ごたえと甘い蜜がいっぱいに広がる。蜜柑の生産量で五本の指に入るだけはあるな、うまい。

私はどちらかといえば晩白柚の方が好きなのだが。まあ、食べるのも大変だし、高いし、この小さなサイズの方がいいかもしれない。流石に鏡餅の上に乗せた橙のように小さいのは困るが。

もさもさと頬張っていればいつの間にかなくなってしまった。

皮をティッシュに包んでゴミ箱に投げ捨てる。くるくるとチャンネルを変えてみるがめぼしい番組はなく、諦めてテレビを消した。どうもあんな騒々しいのは苦手だ。私は静かに過ごしたい。

テレビを切ったことにより、部屋は時計の音は大半を占めた。歯車がカチカチとか細い音をたてる。たまに砂時計の落ちる様を眺めている人がいるが、私はそんな趣味はない。膨大な時間の流れに押しつぶされて気が狂ってしまいそうになる。

床に寝そべって蝸牛の真似をしてみる。

「こたつむり。」


ダメだ。全く面白くはない。けれど久しく天井に挨拶はしていなかったので新鮮なものが見れた。勿論、ただの白熱灯と真白き壁なのだが。

大掃除などする余地もないほど簡素で殺風景な我が家は6割ほどが書物で埋まっている。ほとんど読まないし、晴れていないから干すこともできない。パラパラと近くに立てかけていた比較的最近購入した本をめくってみる。

全て読み通していたため、内容が全て脳内に入っているため、読む気も失せる。


だらだらと過ごしていれば夜になってしまっていた。まあ、時間を湯水のようにつかえば当たり前なのだが。蕎麦も啜り終わり、風呂にも入ってしまえば後は寝るだけ。

布団に入り、枕に頭を乗せれば微かに響く除夜の鐘。様々な悪霊や怨霊を祓う儀式らしいが、今更だ。町一帯に確かに心地よく染み渡っていく。寒空の下、また今年が終わっていく。

閑散とした新年→←努力と無理は別物


  • 金 運: ★☆☆☆☆
  • 恋愛運: ★★★☆☆
  • 健康運: ★★★★★
  • 全体運: ★★★☆☆


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(´・ω・`)Love(プロフ) - 鵯さん» リクエスト消化してくださりありがとうございます!流石鵯さま、期待以上のお話が読めて嬉しい限りです。良ければまたリクエストさせてくださいね。ありがとうございました! (2017年12月29日 19時) (レス) id: e516045fa3 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - (´・ω・`)Loveさん» 大丈夫ですよ。ありがとうございます。気長にお待ちくださいませ。 (2017年12月28日 21時) (レス) id: 10532b6a12 (このIDを非表示/違反報告)
(´・ω・`)Love(プロフ) - 鵯のさえずりというページは消されたみたいですけど、リクエストってまだ受け付けてますか?もし大丈夫でしたら飴の出てくるほのぼのとしたお話が読みたいです!……こ、こういうリクエストも平気ですか? (2017年12月28日 10時) (レス) id: e516045fa3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2017年12月20日 18時

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