3話 ページ4
マンションを出ると、目の前には黒塗りの車が止まっていた。
舎弟の人が、Aに頭を下げる。
「おはようございます。頭」
「おう」
「…おはようございます」
左馬刻は、最初これを躊躇していた。
けれど躊躇っていたら1発腹に入れられた。それ以来、挨拶はしっかりしている。
舎弟がドアを開けて待つ。
Aが乗ったのを確認し、左馬刻も後部座席に乗る。そして舎弟が運転席に乗ると、車は‘事務所’へと向かった。
車内から流れる景色。もう見飽きてしまった。
「…拷問でもしてみるか?」
この男は突然何を言い出すのか、と左馬刻は思った。
「頭、それは…」
「うるせぇ、テメェは黙ってろ」
運転席に一蹴り入れると、Aはどうする?と聞いてきた。
左馬刻の答えは決まっている。
「そんなもん、しません」
「…つまんねー奴。
退屈そうにしてっから、いい気分転換になると思ったんだけどな」
そんなもので気分転換になるのは、きっとこの男だけだ、と思った。
気が付けば事務所に着いていて、Aを先頭に入っていく。
誰を見ても厳つい。
そんな中にいるAは目立つ。
部屋の奥のディスクに着くとAは懐から煙草を取り出した。
左馬刻は側に行き、ライターを取りだし煙草に火を付けた。
その動作は、既に慣れたものだ。
「…すぅ……っはぁ、あんがとな」
「っす…」
頭を撫でられる。
朝みたいに、むず痒さを感じた。
煙草の味を楽しんでいるAは、舎弟からの報告を聞く。
「……の金を回収しに行く予定です。その後は渋谷の……」
「渋谷は任せるわ。
俺はもう一つの方に行く」
「分かりました」
着いたばかりだと言うのに、既に出る準備をするA。
「伊出《いで》、鞁島《かわしま》、お前らは俺と来い。鞁島は車出せ。
左馬刻、行くぞ」
先程とは違う車に乗り、目的の住所まで走らせる。
車に乗って20分程。
二階建てのアパートに着いた。目的の人物は2階に住んでる。
部屋へと向かい、チャイムを押すが音沙汰ない。
「逃げましたかね」
「いやぁ、ポストは中身が無かった。居留守だろ」
「おい!!開けやがれ!!」
伊出と呼ばれた男が大声で男を呼ぶ。
何度か繰り返すが、出てくる気配がない。伊出はクソっ!とドアを蹴る。
Aは煙草を捨て、足で火を消した。
そして口を開いたかと思うと…
「出てこないと、妹さんがどうなっても知らないよぉー?」
部屋の中から足音が聞こえたと思ったら、中からは30代くらいの男が出てきた。
男を鞁島が殴り飛ばし、3人は部屋へと上がった。
左馬刻も、その後を着いて行った。
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洸牙(プロフ) - はちゃめちゃに最高でした………。設定が神がかってる上に文章も素敵で 、本気で感動しました。左馬刻様が可哀想可愛いすぎて情緒めちゃくちゃです。この2人のその後とかを考えて、勝手に泣きそうになったりしてます。これからの作品も楽しみにしてます! (2022年2月9日 23時) (レス) id: 5f00eb5dfd (このIDを非表示/違反報告)
リト - とても面白かったです!!!!もう大好き!!他の作品も、見てみようと思います。お疲れ様でした。 (2021年12月21日 1時) (レス) @page45 id: 2df230b8f3 (このIDを非表示/違反報告)
ロト(プロフ) - スマホに変えてて慣れるのに時間かかってたらいつの間にか完結していた…だと…!?完結おめでとうございます!!読む度に語彙力が蒸発するくらい萌えてました。読み終わった今はクラッカーを100回くらいパァンってしたい気分です!! (2020年4月30日 1時) (レス) id: f40d6209a3 (このIDを非表示/違反報告)
心春(プロフ) - 亜星可也さん» コメントありがとうございます。無事完結できて良かったです。そしてご心配して下さり、ありがとうございます。亜星可也様も、体調等お気をつけください。 (2020年4月6日 18時) (レス) id: 3f9e794f84 (このIDを非表示/違反報告)
亜星可也(プロフ) - 完結おめでとうございます!!!もう本当に左馬刻が尊すぎて最高でした!!最近コロナが本当に危ないので感染しないように十分にお気を付けください!!! (2020年4月6日 18時) (レス) id: 430d859c05 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:心春 | 作成日時:2020年2月18日 14時