12話 ページ13
掃除も終わり、することが無くなった左馬刻は来客用のソファーに座ってAが部屋から出てくるのを待っていた。
すると2人が部屋に入ってからおよそ1時間くらいで、Aではなく鬼久呂が出てきた。
左馬刻はそれを確かめると、奥の部屋へと入ろうとする。しかしそれは叶わず、鬼久呂によって止められた。
｢…んだよ｣
｢頭は今、人に会える状態じゃない。あの人が出てくるのを待て｣
｢会える状態じゃないって…｣
やっぱり、舎弟達が話していた通りなのだろうか。左馬刻はそう思うと、目の前の男にムカついて仕方がなかった。
そして、それを隠そうとはしない。
｢そんなん知るかよ。俺はあの人の犬、飼い主の傍にいるのが俺の務めだ｣
左馬刻は鬼久呂の制止を無視し、部屋に入ろうとそのドアノブに手をかけた。
すると背後からその手を捕まれ、顔の横には腕。左馬刻よりも大きい鬼久呂は、その状態で見下ろしてくる。
｢…どけよ!｣
｢あまり、調子に乗るなよガキ。所詮お前はただの‘高校生’。この世界に今は足を踏み入れていても、ずっといることは出来ない。
頭だって、すぐにお前に飽きる｣
ぶん殴ってやりてぇ。
左馬刻はそう思ったが、体制的にそれは叶わなかった。
左馬刻は見上げ、鬼久呂は見下ろす。そうして睨み合っていると掴んでいたドアノブが動いた。
｢あれ、開かねぇ｣
ドア越しに聞こえたその声に、左馬刻も鬼久呂もすぐにドアの前から離れる。
するとドアは簡単に開き、Aが出てきた。
｢…なにしてんだお前ら｣
｢いえ、少し碧棺と世間話をしていただけです｣
｢は?｣
何だその見え透いた嘘。
左馬刻は、流石にそれは無いだろうという意味を込めて再び睨む。
｢お前、もう少し上手く嘘つけるようになれよ｣
｢……すみません｣
Aは2人の間を通って己のディスクへと向かう。するとそこにはコーヒーが置いてあった。
掃除を終えたあと、左馬刻が入れたのだ。
｢んだこれ、左馬刻が入れたのか｣
｢は、はい｣
｢ふーん……入れ直せ、温かいのがいい｣
入れてから時間が経ってしまっていたそれは、湯気も出ていない。
左馬刻は飲んでもらえなかった寂しさを感じつつも、Aの言う通りにした。
｢スティックシュガー、3つだ｣
不意に鬼久呂がそう言った。
それは、まるで俺の方がAに詳しい、とでも言いたげだった。
｢チッ…｣
入れ直したコーヒーの横には、先程はなかったスティックシュガーが3本、置かれていた。
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洸牙(プロフ) - はちゃめちゃに最高でした………。設定が神がかってる上に文章も素敵で 、本気で感動しました。左馬刻様が可哀想可愛いすぎて情緒めちゃくちゃです。この2人のその後とかを考えて、勝手に泣きそうになったりしてます。これからの作品も楽しみにしてます！ (2022年2月9日 23時) (
レス) id: 5f00eb5dfd (このIDを非表示/違反報告)
リト - とても面白かったです！！！！もう大好き！！他の作品も、見てみようと思います｡お疲れ様でした｡ (2021年12月21日 1時) (レス) @page45 id: 2df230b8f3 (このIDを非表示/違反報告)
ロト(プロフ) - スマホに変えてて慣れるのに時間かかってたらいつの間にか完結していた…だと…！？完結おめでとうございます！！読む度に語彙力が蒸発するくらい萌えてました。読み終わった今はクラッカーを100回くらいパァンってしたい気分です！！ (2020年4月30日 1時) (レス) id: f40d6209a3 (このIDを非表示/違反報告)
心春(プロフ) - 亜星可也さん» コメントありがとうございます。無事完結できて良かったです。そしてご心配して下さり、ありがとうございます。亜星可也様も、体調等お気をつけください。 (2020年4月6日 18時) (レス) id: 3f9e794f84 (このIDを非表示/違反報告)
亜星可也(プロフ) - 完結おめでとうございます!!!もう本当に左馬刻が尊すぎて最高でした!!最近コロナが本当に危ないので感染しないように十分にお気を付けください!!! (2020年4月6日 18時) (レス) id: 430d859c05 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：心春 | 作成日時：2020年2月18日 14時
