漆 ページ33
｢げんだろー!!邪魔するぜ〜!!｣
｢うむ、失礼する｣
そんな声が聞こえ、眠りに入りそうだった意識が戻ってきた。
しかし変だ。何だか、声の主が多い気がする。
｢お前、こんな所で何してんだ?｣
｢風邪をひいてしまうぞ｣
片方は見慣れた男。けれどもう片方は…
｢何故、貴方がここにいるんです?
MTCの軍人さん｣
俺のその発言に、二人は目を見開き驚いていた。
驚きたいのはこっちだ。なんせ、敵である男が易々と我が家の敷地にいるのだから。
｢なに、言ってんだよ?幻太郎…｣
｢………｣
｢はぁ…帝統、貴方がこの人と仲がいいのは知っていますが、小生の家に連れてくるのは辞めてください。敵なんですよ?｣
｢……お前、マジで何言ってんだ…?
理鶯さんはAの家族みてぇなもんなんだから、ここに来たって｣
｢A?誰です、それ｣
｢……は?｣
聞いたことの無い人物の名を口にしたギャンブラー。何故知らない、みたいな顔をしているが、知らないものは知らないのだ。
けれど、一瞬だけ心がモヤッとしたような…言葉にし難い感覚を感じた。
｢ま、またお得意の嘘だろ!?
やめろよなぁ〜!そういうの!｣
｢…小生、まだ嘘ついてませんけど｣
｢え……いや、だって………っ!!｣
ギャンブラーは慌ただしく靴を脱ぎ、勝手に部屋へと上がった。
俺はそれを止める間もなく、軍人に話しかけられた。
｢……本当に、Aという男を知らないのか｣
｢ええ、知りません｣
何故、苦しそうな顔をする。
ギャンブラーもそうだ、部屋に上がる前に見えた表情は必死で、苦しそうだった。
｢鈴!!太次郎!!A!!居ねぇのかよ!!?｣
ギャンブラーの声が聞こえる。
どうやら彼は、家のあちこちを探し回っているらしい。
聞いたことの無い名前を何度も呼んで…。
｢二人して、一体何なんですか?
迷惑なので、やめてもらいたいんですが…｣
｢……すまない。小官は、帰るとしよう｣
｢なっ、待って!理鶯さん!｣
｢有栖川、何度探しても無駄だ。
三人の気配は……この家には無い｣
そう言い残して軍人は家から出ていった。
残ったのは、俺と仲間であるギャンブラーの男のみ。
｢そんな………本当に、居ないのかよっ……｣
ギャンブラーは目に涙を浮かべ、そう呟く。
俺はなんと声をかけていいのか分からず、その様子を見守ることしか出来なかった。
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ふぃっく - 一番気になるところで終わるのがウズウズします！！！！！！ぜひ続きを書いてください！ (2023年4月16日 14時) (
レス) @page38 id: 634615dde5 (このIDを非表示/違反報告)
心春(プロフ) - ロールロールさん» コメントありがとうございます。最近更新出来ずに申し訳ありません…。近々更新致します。あたたかいお言葉ありがとうございます。 (2020年4月5日 12時) (レス) id: 3f9e794f84 (このIDを非表示/違反報告)
ロールロール - はじめまして!とても楽しみに更新待ってます！体調管理に気をつけてください!応援してます。頑張ってください。 (2020年4月5日 0時) (レス) id: d8adda4a88 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：心春 | 作成日時：2020年1月12日 9時
