お便り13:責められる決断 ページ40
『あー、思い出してからは初めてだねお兄ちゃん。』
黄泉の時はあんなにペラペラ言葉が出たのに今はまるで出てこない。まるで海に溺れているかのようだ。
『見ないうちにすっかりと変わったなAは……黒い髪も似合っているよ。綺麗になったな。』
『………お兄ちゃんってそんな言葉は言う人だったけな？もうちょいぐらい照れてよ。今は凄い美人なのに…,』
「せやったか？」
『「…………」』
沈没が辛い…。
この場所に居るのことは”あの約束”を思い出しているからなのか。それとも……
まだわかないなあ…。
「なあ、質問してもええ？」
『私が答えられる範囲でならいいよ。』
「…Aは今まで辛くなかったん？」
辛くない？そんな訳ない。だって私は”あの日”そう
《お兄ちゃんは郵便屋の候補生になった事を、私の大事な人のことを…。》
関係者に無闇に話してはいけないからね。
だけどその日イフリートがこの世界から消えていきそうで、とてもじゃないが言える雰囲気じゃなかった。
程なくしてらっだぁさんは亡くなった。今考えると自分の余命を察しての行動だったかな候補生を決めたのは。
これを機にお兄ちゃんに全てを話そうと思った。けどイフリートもこの世から亡くなっていた。
少しの間だけは奥さんが運営してたけど後を追うように行方不明になって行った。
《とても辛かったなあ。大事な人が次々と私の前から消えていくのだもん。》
『すっごく………辛かったよ。』
(ボロボロ)
泣きたくなんかないのに、涙は言うことを聞いてくれない。
もしかしたらずっと誰かに聞いて欲しかったかもしれない。
「ごっごめん、聞きたくなかったよな。こんな言葉なんて実は他にも聞きたいことがあんねんけど、今までどうやって力を扱ってたん？郵便屋はその…。」
歯切れが悪いなあ。悪いと思うなら聞かなきゃいいのに
『あれ？兄さんから聞いたと思ったけど、郵便屋になる前の記憶を使ってたんだよ。』
「それって…でも今は思い出してるやん。」
『うーん、説明が難しいなあ。本来郵便屋は”あの世のもの”から受け取るのが仕事なの。だから亡くなった人は生まれ変わるから記憶の根元から無くなるけど、生きてる人は忘れはしないんだよ。”思い出せないだけで。”だから今代償を私は払ってるの』
「待ってそれって((『ごめんねお兄ちゃん。バイバイ』
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作者名：ケロ吉 | 作成日時：2020年8月4日 15時
