お便り6:ぶっきらぼうな優しさ ページ25
『うわあ〜.*･ﾟ .ﾟ･*.』
驚きが隠せない。この街にこんなにも美しく儚いお花畑があったなんて…。青系統の花たちがまるで海のようにも見えてくる。
tn「綺麗な場所やろ。小さい頃に偶然見つけてな、ここの管理は代々フューラー家がしてるんやけど知人やから特別に入っても許されるんや。」
『そんな大事な所に私を連れてきてよかったの？』
彼からしたら私はただの交換留学生にしか過ぎないのに…。
tn「俺が自慢したくなったんや。ここはこんなにも綺麗な場所の事を。他のみんなには内緒やで。約束な。」
まるで少年のようにはにかんでいる。
『ええ、約束するわ。…そういえばこの花たちの名前はなんなの？とても綺麗だから帰ったら調べたいわ。』
tn「ええよ。この紫の花は紫苑(シオン)こっちの青いのは勿忘草って言うんやで。他にも色んな花が咲いとるけど今日はここまでやな。」
少し寂しそうな瞳でこちらを見ている。
tn「なあ、本当に覚えとらんの…」
瞳には涙が滲んでいる。どうしてそんなに皆は悲しそうな顔をするの？私のせいなの……。
そう考えてたら突然トントンは私に抱き着いてきた。
tn「すまん、聞かんかった事にしてくれ。俺も限界なんやな。」
それはどう言う(トンっ)…その言葉が出る前に私は倒れてしまった。
薄れゆく意識の中トントンが「……ごめんな。」そう、呟いた気がした。
tn視点
「はー、つい感情が抑えきれんかった。」
久々に見た”好きな人”は全く違う人物になっていた。内面はそこまで変わっていないが外見がまるで違う。昔とは違う細すぎる体に目を向ける。
「うわ、めちゃくちゃ軽くなっとる。ちゃんと飯食っとんのかな。」
2つ結びと眼鏡だけは変わってなくて良かった。おかげで”思い出せた”。そこは昔とは変わらんかった。
「Aは盗られて消されていた本名を出せば思い出してくれるはずやけど…。」
なあ、Aあん時もっと必死に止めてたらお前は”郵便屋”にならんかったんかな。
もっとあん時”手を離さなかったら”……
もう後悔しても遅い。今はただゾムが思い出してくれるのを願うだけや。
設定
フューラー家…この地に代々市長をしている。先程居たお花畑の他にも沢山の土地を所持している。ゾムたちが通っている学校の創設者でもある。
紫苑(シオン)の花言葉は「追憶」「君を忘れない」「遠方にある人を思う」
勿忘草の花言葉は｢私を忘れないで｣
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 13人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ケロ吉 | 作成日時：2020年8月4日 15時
