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すうっと音が漏れ出るくらい大きく息を吸い込んで、杖を構えた。
まだ何も灯していないローソクを瞳に捉え、そこに向かって杖を振るってみる。
｢ちいさく…｣
力を抑えることを意識して、ついにローソクの芯がジジっと鳴くも着火までは至らない。
てことは、抑えすぎ？
｢もうちょい、｣
大きな力でやってみよう。
そう思い瞳を閉じて集中した瞬間やった。
｢アキト！！｣
｢えっ、うわぁっ！！｣
お師匠さまの声に瞳を開くと目の前に、大きな火のかたまり。
あつい。どうしよ、どうしたらええの？
ローソクはとっくに液状になって、もうどこにあるかも、存在するかさえ分からない。
｢おい、そこにいたら燃えるだろ！こっち来い！｣
｢で、でも…｣
お師匠さまに腕を引かれても、足がすくんで動かない。
消さなきゃ、でも、どうやって？
…どうやってやるんやっけ。
炎に奪われた思考回路では、何も考えられへんかった。
｢あっくん、落ち着いて｣
｢っ…そ、さ……ん？｣
｢大丈夫だよ。どうせこの炎は魔法陣から出られないんだから。それよりね、ゆっくりゆっくり…深呼吸しよお？｣
｢は、っ……は、い…｣
真っ赤な炎しか映さなかった瞳の中に、凛と立つソウさんが見える。
ゆっくり、ゆっくり呼吸をすると、狭くなっていた視界が少しずつ拓けていった。
｢あ…ほ、まや……｣
ごうごうと炎がうごめくのは、ソウさんの言うた通り魔法陣の中でだけ。
周りを見渡すと、俺の腕を引くお師匠さまと、服の裾を咥えて引っ張るジュンタくん。
｢あっくん、落ち着いたね？そしたら、もう一度瞳を閉じて、青を思い浮かべるんだよ。キレーな海の色！ほら、やってみて！｣
｢…うみ、｣
もう一度瞳を閉じるのは怖かったけど、言われた通りにやってみる。
すると、みるみる熱さがなくなって、あっという間にシンと静まり返った。
｢あっくんちゃんと自分で鎮められたじゃーん！｣
｢よし、よくやったアキト｣
｢あ！アキト、頬やけどしてるやん！｣
｢え……｣
何もなかったかのような部屋に呆然とする俺をよそに次々話し出すみんなをただただ見つめる。
簡単な魔法のはずがこんなおおごとになってしまうなんて、自分の不甲斐なさに泣いてまいそうや。
ジュンタくんに言われた頬の傷が、俺の失敗をじくじくと刻んでる。
でも自分の痛みとかそんなことはどうでも良い。
ほんまに良かった…誰も、傷つけてなくて良かった。
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いちすけ(プロフ) - お返事ありがとうございます！わかりました^_^この小説とても好きなので更新再開楽しみに待ってます(°▽°) (2018年6月16日 21時) (
レス) id: d040b6979e (このIDを非表示/違反報告)
杏子(プロフ) - いちすけさん» こんばんは。閲覧ありがとうございます。続きは編集中の為パスワードが掛かっております。更新再開まで少しお待ち頂ければ幸いです！ (2018年6月16日 5時) (レス) id: f0bc5c27fe (このIDを非表示/違反報告)
いちすけ(プロフ) - こんばんは。続きが見たいのですが、パスワードはどうやったらわかりますか？>_< (2018年6月15日 21時) (レス) id: d040b6979e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りとる☆★杏子 | 作成日時：2017年7月29日 3時
