14 (side 安田) ページ16
好きや。横山くんが、たまらなく好き。
だから嫌いや。自分が、どうしようもなく嫌い。
「先輩は、ご近所さんなんです」
春の粧いをし始めた通学路の少し先。
何度も通ったことのある道なのに今まで存在すら気付かなかった本屋さんを見つけたのが昨日の話。
導かれるように足を踏み入れたこのお店は不思議に溢れてる。
「小さい頃から、一緒におって…」
「幼馴染かぁ」
例えば、お店なのに全く商売っ気がないとか。
……昨日会ったばかりの人にこんな話をしている自分とか。
「僕はこれが、この気持ちが…人と違うって知ってるんです」
「…おん」
重岡さんが受け入れてくれるなんて保証は欠片もない。
このまま「そうやねおかしいから隠そうね」って言われるのが関の山。
「こんなん普通やない。おかしい。き…っ気持ち、わるい…」
頭では分かっているのにどんどん溢れて止まらなくなるのは、目の前の優しい瞳への甘えだろうか。
「誰かにそう言われたん?」
「……いえ、でも、っそう…でしょう?」
「さぁ?分からへん」
「え…?」
「俺さぁ、ふつう〜とか言うんがあんまし分からへんのよ。ごめんなぁ世間知らずで」
こういうところ、やっぱり不思議。
あっけらかんと言うのに、投げ遣りやなくて。
すんなり、ちゃんと次を聞こうって心を作れるような話し方をしてくれる。
「まぁ、確かに男女があっての世の中やからそれが少数派なんやろうなぁってのは分かるで。やからって君のその気持ちをおかしいなんて、これっぽっちも思わへん」
「…なんで?」
「なんでって、恋情は人間が平等に持つもんやろ?対象がちょこっと違うだけでおかしいなんて、それこそ気持ち悪いわ」
そうはっきりと言い放った重岡さん。
たった一人に言われただけなのに全てに許されたような気分もまた不思議で、ギシギシとこわばっていた僕の体から力が抜けていくのを感じた。
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杏子(プロフ) - ebifuraistar73さん» コメントありがとうございます。そう言って頂けて嬉しいです!また少し待たせてしまうかもしれませんが、ゆっくり更新していきますのでこれからもよろしくお願いします! (2018年3月13日 14時) (レス) id: f0bc5c27fe (このIDを非表示/違反報告)
ebifuraistar73(プロフ) - 待ってました!公開する季節、ぴったりですね。ありがとうございます。 (2018年3月13日 6時) (レス) id: 747d322e1b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:杏子 | 作成日時:2017年9月6日 19時