第65話 内緒 ページ22
「……あらあら。そんな睨まないでくださいよ、顔に皺がよっていますよ」
じっとこちらを睨む様に一瞬見据えると、女は直ぐにヘラヘラと笑いながら言った
「……なんでここにいるの」
偶然、と言えば偶然なのだろう。しかし、私にはなにか裏がある様に感じてならない
「たまたまですよ。
最後を1文字づつ強調する様に、口を大袈裟に動かしては笑った
「そう……」
私は短く返すと、女の張り付いたような笑みを見つめた
さっきから此奴と話していたら、寒気がしてならない
機械的に頬笑む女の化けの皮がいつ剥がれるのか
「Aさんとは仲が宜しいんですか？？」
じりじりと距離を詰められ、思わず後ずさる
「……親友、だから」
少しばかり照れ臭いが、前にAが眩しい様な笑顔で言ってくれた一言。
私はその言葉がとても嬉しくて、大事にしようと心に決めたのだ。
「ふぅん……」
と、何処か薄い反応をした。
……目は深みを増した気もするが
「私はAの所へ行くから。あまりあの子に関わらないで」
最後に少しばかり睨みを効かせるように言い残して立ち去った
時だった
「Aさんは明日、お義父さんとお会いするそうですね。
冷やかな笑顔のまま、こちらにじっと見つめ手を振る女の顔が妙に忘れ難い
私は首元を伝う冷や汗を感じながらも、Aの元へと足を早めた
▽▽
「あ、カナヲ」
先に席を取っていてくれたAと向かい合わせに座り、私は深呼吸をして気を落ちつかせる
「ジュースありがとう。……あのさ、A」
「全然よ。なあに？」
ストローから口を離したAはコテと首を傾げると、キラキラした瞳でこちらを見つめ返す
「……明日、大丈夫？」
「あ、えっと……う、うん！大丈夫大丈夫！」
肩を跳ねさせると、目を逸らし俯きがちに頷くA
心配だな……
「Aには私がついてるからね」
小さなAの手を両手で包み、桜色の瞳を見つめ言った
「……うん！私には親友がいるものね、お義父さんになんて言われようが大丈夫よ！」
ポカンとした顔をするも、直ぐに満面の笑みでぎゅと手を握り返してくれる
Aならきっと大丈夫
お義父さんにも分かってもらえるよ
……あの女が引っかかるけど
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 368人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
まいまい(プロフ) - 更新待ってます (2021年1月14日 22時) (
レス) id: ab72577554 (このIDを非表示/違反報告)
pooky - 面白い！続きが気になる！ (2020年10月20日 6時) (レス) id: 012e567f90 (このIDを非表示/違反報告)
しおりんご - うぅ！続きが気になる！ (2020年10月12日 0時) (レス) id: b3900f2f00 (このIDを非表示/違反報告)
sayakanohimawar(プロフ) - とっても面白いです！他の方が仰られるように、どハマリしますね！学校帰りに見つけて、読み始めて、気づいたらもうこんな時間！？ってなりました。。できれば早く続きが見たい！！です！更新よろしくお願いします！！頑張ってください！ (2020年7月16日 17時) (レス) id: d2b0ff775b (このIDを非表示/違反報告)
MIKA(プロフ) - ありがとうございます！見てみたら本当でした……寝ぼけてたんですかね、御報告助かります(泣) (2020年6月4日 19時) (レス) id: dd92ad6562 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：MIKA | 作成日時：2020年4月25日 10時
