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第56話 本音をいうと ページ13

「凄い……」

「はッ すげーだろ!こっからだと人もうじゃうじゃ見れんだぜ」


引っ張られるまま着いていけば、そこは山奥だった。


神社の祠の裏にこんな絶景スポットがあったとは知らなかった。


「本当だ……凄い」


真っ暗な夜空を明るく照らす花火の音


パラパラと儚く消ゆく光が、なんとも切なくて


「……あ」


下を見詰めれば沢山の人集り


親子連れやカップルに、学生同士で来ていたり、単体で来てる方


色んな人が皆顔をあげ、空に舞う火花に見蕩れていて


「禰豆子ちゃん!と、善逸だ……」



仕方無いじゃないか、無意識に探してしまうのは


だって、誘いを断わられた理由がこれなのだし


打ち上がる大量の花火をきらきらとした瞳で見上げる禰豆子ちゃん


そんな禰豆子ちゃんの横顔をうっとりと眺める善逸の姿


――本当なら、私が彼処に居たはずなんだけどな


相も変わらず自身の醜さが嫌になる。


ふと目を逸らすように伊之助を見やる


きらきらと光る花火が翡翠色を照らして

女の子より綺麗な顔をより際立たせている


……本当は、炭治郎も来れるはずだったのに。


カナヲとも回れる予定だったのにな


伊之助と回るのは楽しいけれど、本音を言ってしまえば炭治郎達ともこの花火を見たかった。


嗚呼、我儘な女だな。私は


この想い事花火と共に星空に散ってくれたらどれだけ良いか


「A」


「なに……って、へ?」



ぼうっと花火を見ては溜息を吐いた時だった


肩をポンと叩かれ、後ろを振り向いたら


「お待たせ、待たせたな」


にかっと笑う炭治郎の姿


渋い抹茶色に黒の市松模様が入った浴衣を着た炭治郎が、私に背を合わせ屈んでいた


「嘘ついてごめんね、A。最近元気が無かったみたいだから……」


後ろからは蝶の柄が入った薄紫と白で彩られた浴衣を着たカナヲの姿もあった


「え、どうして……今日……」


2人は今日、来れなかった筈


「ふん!俺様が此奴らを呼んだんだよ!」


「Aを吃驚させたくて……」


どうやら、落ち込んでいる私の為にわざわざ計画を練ってはドッキリを仕掛けてくれたらしい


「皆で花火、見たいんだろ」


伊之助が、子分の頼みだからな!と胸を張っていった


「……皆、ありがとう!」


Aの笑顔が、丁度打ち放たれた満開の花火をバックにきらきらと輝いた

第57話 偶然→←第55話 祭り



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設定タグ:鬼滅の刃 , 我妻善逸 , 竈門炭治郎   
作品ジャンル:恋愛
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まいまい(プロフ) - 更新待ってます (2021年1月14日 22時) (レス) id: ab72577554 (このIDを非表示/違反報告)
pooky - 面白い!続きが気になる! (2020年10月20日 6時) (レス) id: 012e567f90 (このIDを非表示/違反報告)
しおりんご - うぅ!続きが気になる! (2020年10月12日 0時) (レス) id: b3900f2f00 (このIDを非表示/違反報告)
sayakanohimawar(プロフ) - とっても面白いです!他の方が仰られるように、どハマリしますね!学校帰りに見つけて、読み始めて、気づいたらもうこんな時間!?ってなりました。。できれば早く続きが見たい!!です!更新よろしくお願いします!!頑張ってください! (2020年7月16日 17時) (レス) id: d2b0ff775b (このIDを非表示/違反報告)
MIKA(プロフ) - ありがとうございます!見てみたら本当でした……寝ぼけてたんですかね、御報告助かります(泣) (2020年6月4日 19時) (レス) id: dd92ad6562 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:MIKA | 作成日時:2020年4月25日 10時

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