未完成人【Fischer's】【S.R】 (ページ5)

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甚平を着たあなたに出会ったんだページ5

？「あ、すいません！」

そういえば、甚平を着た彼はしゃがみ込み、巾着を拾ってくれた。立ち上がった彼は僕より幾分か背は高いものの、隣の一緒に来ている男性とはかなり背の高さは違うものだった。

『こちらこそすいません…。当たってしまったのはこちらだったのに拾っていただいて…』

当たってしまったのは僕の方だった。けれど彼は嫌な顔一つせず、しゃがみ込み巾着を拾ってくれたのだ。めったにいないこんな人にすこし、戸惑いは隠せなかった。

？「いやいや！シルク肩幅広いからそのせいであたっちゃったのかもしれないしさ！」

？「肩幅広いは余計だろ！お前は横にデカすぎな」

まるでコントのような会話を繰り広げている目の前の男性達。お互いのことをこう言えるのも仲のいい印なんだな、なんて思いながらそれを見ているとおかしくなってしまい思わず小さな笑みを零せば、目の前の男性二人の会話は止まってしまっていた。

？「…あ」

梨花「あ！優奈〜！いた…って……千里に諒じゃん！！！」

巾着を拾ってくれた彼が何かを言おうとすればその声に梨花の声が重なりかき消されてしまった。彼の言おうとしていたことも気になるのだが、梨花が彼らの知り合いであることに驚きを隠せないでいたのも事実だった。