8話 ページ10
柴乃side
僕は今、uuumの事務所前にいる。先日、この事務所に所属が決まって、優奈と挨拶に来た…のに……。
『…優奈、遅いな…』
優奈が珍しくこない。いつもなら五分前には来ているのに。僕が時間を間違えた、？いや、そんなこと…と迷っているとLINEが届く。
『…なんだ、寝過ごしたのか…』
ふと安心する。…でも、そうなると僕だけでも入ってた方がいいのかな……。いや、でも二人揃って入らないと…。
そんなことを考えながら数分間、事務所の前をうろうろしていた時
「＿＿あの。どうかされました？」
と声をかけられた。声がした方を向くと5人くらいの男の人。
「ここに何か用でも、？」
背の高くてハーフっぽい人がそう聞いてくる。僕は怖くて喋れないでいた。
「？もしかして、視聴者さんとか？」
帽子を被った人がそういう。ということは、この人たちもYouTuber…？
「あー……。…そういうの困るんだよなぁ」
めんどくさそうに頭を掻くたらこ唇の人。…僕は、さらに怖くなった。この人達は、怖いって、認識した。
「？どうしたの？」
ぽっちゃりした男の人が不思議がるのも無理はないかもしれない…。僕の体は、無意識のうちに震えていたのだから。
「え、ちょ、え、！？」
焦る目の前の人達。怖い、嫌だ…。
『(っ、はやく、きてよっ……！優奈…！)』
心の中でそう叫んだ。その時、いつも僕を優しくなでてくれる、覚えのある暖かい手の温もりを頭に感じたその後に声がした。
「柴乃…待たせた」
…ああ、どうして優奈は、いつもピンチな時に現れてくれるのかな…。本当に、僕のヒーローだ。
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