3周年記念『kn』 ページ24
扉に括り付けられた鈴の音が鳴る。
扉を開くと直ちに広がる香りは、好きな人にとってはたまらないものなのだろうか…？
A『…！コネシマ様、お待ちしておりました！』
kn『堅苦しいからええって言うたやろ…』
相変わらず騒がしく来たと思ったら…
ため息を吐きながら前を向くと、彼女の姿は既になかった
『堅苦しい』そう言ったって、この呼び方も話し方も変わらないのは分かっているし、彼女の無駄に真面目な性格が出ているのかもしれない
人気がない窓際の席に座り、彼女を待つこととしたがその必要はなさそうだ。
A『甘さを控えてみました、是非感想を頂きたくて…！』
kn『……。』
そう言われ目の前のテーブルに置かれたのは、見るからに普通の甘いケーキと変わらない見た目のケーキ
『いただきます』と言い、ケーキの端の部分を食べたが
たしかに、甘みを感じることがあまりない。
kn『…甘くない』
A『本当ですか…！』
普通な感想を言っているだけだが
その言葉を聞いた彼女は些か笑顔をこちらに向けていた。
.
kn『店…畳むんやってな』
貰った水を飲み干して自分がそう聞くと、皿を片付けていた手が一瞬止まり
A『…親が体調を崩してしまったので』
一瞬、ひきつる表情
それは何時もの笑顔の面影はなく、酷く悲しい横顔が見える
.
知っとるよ。
そんなん、咄嗟に思い付いた嘘やろ？
本当は、敵国の料理長にスカウトされたんやろ？
kn『……。』
そりゃあ、言えるわけがないよな。
この国の幹部の人になんて尚更だ
あの時、あの時間に店に訪れなければよかった
1日は24時間もあるのに、その中のたった5分に当たってしまったのだから
その時に、絶賛されていた彼女が心の底から喜んでいる顔をこの目では始めて見た気がした。
.
kn『…A……』
店のドアに手を添えて、彼女の名前を呼んだ。
『はい！なんでしょうか？』
そう後ろから、律儀に返ってくる返事
もし。
俺も、甘い物が好きだったら
彼女の作る全てのものに、もっと“美味しい”と“また作ってほしい”と
言えたのかもしれない。
.
kn『…美味かったで』
ここから始まる、恋なんて。
…あるのだろうか？
A『…っ、待ってください！』
そう言って引かれる腕に、自分は身を委ねてしまうのだ
少しでも、この恋が綺麗に終われるように。
少しぐらいの期待、してもええやろ？
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みるくてぃー - 続編、おめでとうございます！更新、大変だと思いますが、頑張って下さい！応援してます! (2019年2月16日 1時) (
レス) id: 04fa715d74 (このIDを非表示/違反報告)
綺雨-kiu- - 続編おめでとうございます！！ これからも、のんびり、自分の調子で更新頑張ってください！影ながら応援させて頂きます♪ (2019年2月11日 23時) (レス) id: e5cf7f0445 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：riyana | 作成日時：2019年2月11日 21時
