・・・ ページ35
side tn
いつも賑やかな城下町は、深夜にもなると
途端に静まり返り、とても同じ場所とは思えない程
静寂な場所へと変貌する。
「ん?すまんね、今日の診察時間は………!!。」
「驚いたわ、今日はゾムに加えてトントンも来てくれたんか!」
1人病院の戸締りをしている、医者…
いや、"友人"へと声掛けると
いつもと変わらず嬉しそうに手を振る。
__目の下には同じ、黒くなった"クマ"が出来とるけどな？
「それにしても酷いクマやなぁ!一瞬、幽霊が来たのかと思ったわ!」
「アホか、しんぺいさんも鏡見てから今の事もう一回言ってみ。」
俺は別に、彼にクマを見せに来たわけではない
今日、1日を通してゾムがいつになく上の空で
朝から様子がおかしいのが分かったからだ。
「ゾムに、彼女の"視力"を戻す方法はない。」
「俺が…そう伝えたからかもしれんな。」
「……そうか、早朝に聞きに来たと言う事か、すまんな忙しい朝なのに、迷惑をかけてもうた。」
その顔、俺が後に来る事も分かっていたんやろ。
今聞きたい事もどうせ、分かっとるやろ？
医者というのは、"人の心の声が聞こえる"
まさか、そんな能力でもあるんか。
「…心配は何もいらんよ、トントン。」
「"移植"には、今の技術では出来ないと伝えたから安心しぃ。」
「………そうか、それなら安心やな。」
「これ、今日の押し掛けたお詫びというか…差し入れや。院内の人達と食べてな。」
自分は、"伝えていない"と言う言葉を聞き終えた後
急に押し掛けてしまったお詫びとして
差し入れのお菓子を渡し、自分は病院を後にする。
.
.
伝えていない、か。
所詮はみんな、親バカみたいなもんやな。
俺らは皆んな…苦しんでいた2人を見るのが、もう嫌なんやろ。
少しでも、いい報告がしたいって。
「嘘が下手なんよ、ホンマに。」
「伝えたんやろ本当は、ゾムに……。」
.
.
.
「聞いてやトントン!!あんな!もしかしたら、Aの視力がな!」
__戻るかもしれないんよ!!__
.
.
.
.
彼…ゾム自身の目が
Aの…"移植"の適合者やと。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 318人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ＨｉＮａＴａ／ひなた - あれ?目からバブルのたきが〜))…うわーンあ一わ一んうえ−ん (3月31日 8時) (
レス) @page44 id: 46cf81a59e (このIDを非表示/違反報告)
さくさく日記(プロフ) - 初めましてさくさく日記と申します。完結おめでとうございます。今日こちらの作品を見つけまして最後まで通しで閲覧させて頂きました。物語の構成もですがそれぞれの人物の心理描写や流れがとても素敵で泣いてしまいました。本当に素敵な作品をありがとうございました。 (3月21日 22時) (レス) @page44 id: fce70f8179 (このIDを非表示/違反報告)
あずは(プロフ) - 号泣してしまいました😭素敵すぎます、！！ (3月17日 22時) (レス) @page44 id: 0a871c975d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：riyana | 作成日時：2024年2月29日 19時
