・・・ ページ29
.
彼女と出会った時は、当然だがまだ自分も幼かった
"敵情視察"の為に、先輩と彼女の住む街へと足を運び
正に偶然とも言える、その帰りであった。
「…………。」
『猫ちゃん!待っててね……今助けるから!』
それは遠くから聞こえる、1人の少女の声
どうやら、屋根の上にいるのは飼い猫なのだろうか？
降りる事ができないにも関わらず、きっと勢いで
のぼってしまったのだろう。
人通りも全くない為、警戒もする必要はないだろう
気にせず横を通り過ぎてしまおうと、そう思ったが…
『………わっ!?』
足場としていた、大きさも違う木箱が崩れ
自分の目の前で、落下する彼女の姿が見えた。
.
.
それは、殆ど無意識であったと思う
あまりに一瞬の出来事で気が付いたら足が動いており…
「………っ、!!危ないっ。」
「…っと、痛い所は何処もあらへんか?」
たとえ、幼い少女であっても顔を見られてしまうのは
自分が確かに、ここにいたという証拠は残しては
当然だが、ダメであるとは分かっていた。
無駄な事に手を突っ込むなと、何度も先輩から言われた
後に、この街も何かも…全てを壊すのであるから。
自分は、彼女に怪我がない事を確認した後
まだ屋根上で怯えている猫を助ける為に…
崩れた足場や屋根を利用し、上へと登る。
「この猫、君の飼ってる猫なんか?」
そう、彼女に聞いたが急な出来事でもあったからか
ずっと上の空のような状態となっており、自分の声を聞き
我に返ったように、慌てて首を振っていた。
無理もない…その助けるという優しさで得たのは
頭からの落下の可能性であったのだから。
彼女も猫も無事である確認を終え、自分はこれ以上、
ここに滞在する理由もない為
静かに後にしようと思い、彼女に背を向け歩き始めた
早く、先輩と合流しないとまた怒られてしまうから。
.
.
『……あの、待って!!』
最初は、止まらずにその場を後にしようと思った
誰であろうと、自分が此処にいたという証拠を
絶対に残してはいけないから。
それでも、一生懸命追いかけようとする足音が聞こえ
何故だが、自分の足は反対に止まってしまった。
彼女と視線を合わせるように、地面に膝をつけ
差し出された赤いリンゴを見つめた。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 318人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ＨｉＮａＴａ／ひなた - あれ?目からバブルのたきが〜))…うわーンあ一わ一んうえ−ん (3月31日 8時) (
レス) @page44 id: 46cf81a59e (このIDを非表示/違反報告)
さくさく日記(プロフ) - 初めましてさくさく日記と申します。完結おめでとうございます。今日こちらの作品を見つけまして最後まで通しで閲覧させて頂きました。物語の構成もですがそれぞれの人物の心理描写や流れがとても素敵で泣いてしまいました。本当に素敵な作品をありがとうございました。 (3月21日 22時) (レス) @page44 id: fce70f8179 (このIDを非表示/違反報告)
あずは(プロフ) - 号泣してしまいました😭素敵すぎます、！！ (3月17日 22時) (レス) @page44 id: 0a871c975d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：riyana | 作成日時：2024年2月29日 19時
