【wrwrd!】それは煙草と共に拾われた命だった。【ut】 (ページ3)

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「よし、勉強は俺が見たるからな!」

「Aちゃんは6歳やから、そろそろお勉強せなあかんねん。」

『べんきょー?…分かった!がんばるねお父さん』

「なっ…父さんは勘弁や…」と言いながらも
直すことを強制しない辺り、優しさを感じる。

お父さんの話を聞くとどうやら、6歳になると本当は
小学校と言うところに行き
勉強をしないと行けないのだが…

難しい話や細かい話はよく分からないが、
手続きなどが大変やから行かれへん、
とよくお父さんは口にしていた。

「お仕事の合間にしか見る事はできへんけど…」

「立派な大人になる為にも、一緒に勉強頑張っていこな!」

目の前には沢山の本が積み重ねられており
気付けばお父さんと出会った時から
早くも1年が経過をしていた。

お父さんは"在宅ワーク"という、
常に家の中でお仕事をしており、つきっきりで
自分の世話や面倒を見てくれている。

料理や家事など、それまで
私を育ててくれたお母さんより慣れた手つきではないけど、時々一緒に家事をさせてくれたり

過ぎる日々は、思っていた以上に充実していると
子供の自分でも感じる程であった。

『ねぇお父さん、そのお金はいつなくなっちゃうの?』

『…だってそのお金が終わると、私はもうお父さんといられなくなるんだよね?』

私の言うお金、と言うのは。
自分が親から家を追い出される際に
渡された"育児費用の100万円"のことである。

「んじゃ、この100万円で俺の好きな煙草がなくなるまで」

「俺が君をここで育てたるよ。」

お父さんは、私を育ててくれるにあたり
この"100万円をお父さんが吸う煙草"で使い切ったら
もう、私の面倒は見てくれないと、

そう、話していたからだ。

「…心配か?大丈夫や当分は無くならへんよ。」

「あと、15年ぐらい経てばAちゃんも立派な大人になっとるから、その時ぐらいかもな」

そう口にするとお父さんはヘラヘラと笑顔を向け
今日も不慣れな手つきで頭をクシャクシャと
撫でてくれたのであった。

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