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「はっ?待ってや、今…なんて。」
「ちょ…雨音が煩いねん…このままやと2人で風邪も引いてまうし…」
自分の言葉を聞き、
慌てた表情をこちらに向けるお兄さん。
確かに、強い雨のせいでお互いの言葉が
途切れ途切れで聞こえてくる。
お兄さんは差し出した袋を見つめては、
小さい声で「大切にもっておき」と言い
もう一度私の手へと戻る。
「…あぁ!!もう、子供を連れて帰るなんて…ホンマ警察に捕まりませんように!」
「その袋大切に持っとるんやで、一先ず俺ん家に行くで!」
お兄さんはそう言葉にすると、
自分を軽々と持ち上げ土砂降りの雨の中を
駆け抜ける。
必死に走るお兄さんの表情は雨でよく見えないが
それまで寒いと思っていた身体が不思議と
自然と熱くなる感覚に包まれた。
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「すまんな…部屋はかなり散らかっとる」
そう話しながらお兄さんから
１枚のタオルを差し出され、受け取ると共に落ちる
親から渡されたお金の入った袋。
「それ…誰に渡されたんか覚えとるか?」
『…家を追い出される前に、おかあさんから』
その言葉を聞き、
お兄さんは何かを理解した顔をした後
そうやったか、と小さく呟き
私のタオルを頭に被せて不慣れな手つきで
クシャクシャと拭いてくれた。
「…寒かったやろ、まぁこんな小さな家やけど」
「今日からここが、君の家やで。」
タオルでクシャクシャと拭かれている中で
お兄さんから言われた言葉に驚き
慌ててお兄さんの方へと顔を向けると
片手には親から渡された封筒を
少し意地悪そうな顔でチラつかせていた
お兄さんはまだ濡れた服を着て
髪からは雨水が垂れている。
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「んじゃ、この100万円で俺の好きな煙草がなくなるまで」
「俺が君をここで育てたるよ。」
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