・煙草と雨と ページ1
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「なんやこの煙草、まだ湿気てないやん勿体ない」
天気は生憎の雨と称するには
その日は酷すぎる程の雨であった
お兄さんが話しているのはどうやら、
私の足元に落ちているオレンジ色と白の小さな巻物の事をタバコと言うものらしい。
「コンビニで傘も取られて最悪やと思ったったけど、これだけはラッキーやな…さてライター…は」
『……………。』
どうやらお兄さんはタバコと言うものに夢中になっており、隣に立っている自分には気が付いてないようだ。
ポケットから徐ろに取り出す、ライターと言うもの必死に傘もささずにその場にしゃがみ、必死につけている
「っ、つかへんやん…期待損やわほんま。」
「……ん?びっくりしたぁ…驚かさんといてや」
少し機嫌を悪くしたお兄さんはそのまま、
タバコを遠くに投げ捨てようとし、
前を向いた時に少し後退りする形で、初めて私の存在に気が付いてくれたようだった。
「幽霊かと思ったわ…来ないな夜に傘もなくてどうしたん」
「って、俺も傘持ってへんから同じやな。」
濡れて変色した服をみてヘラヘラと笑う顔
それでも目線は自分と合わせるように雨の中膝をついて座ってくれており、
更には冷えてしまうからと上着を傘代わりとして
自分の上に広げてくれており
不思議とお兄さんへの優しさを感じて冷えた手も
少し温まったような気持ちになった。
きっとここで、
このお兄さんに助けを言わなければ自分は
ここで凍死をしてしまうだろうと
当時の幼い自分だって十分理解理解できた。
服の中には家から追い出される前に…
親から渡された100万円が入った袋。
それをお兄さんに差し出し…
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『…あの!!!』
『このお金でお兄さんの好きなタバコを買っていいので』
『その代わり、私を拾ってくれませんか。』
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