【wrwrd!】いつか訪れる偽りの幸せを。 (ページ6)

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「Aさん!この僕の持っている石をよく見ててくださいね?」

『………?』

隣に座る彼はそうとだけ言うと左右の手を広げ、右手側に石を置くとパシッと両手を合わせてしまったのだ

そしてそのままその石をかき混ぜるかのように両手を合わせてつつ一生懸命にその手を振っている…

「Aさん。花はお好きでしょうか?」

手を振っている最中ではあるが、興味が心底あるという表情をこちらに向けながらそう話している彼の質問に

勿論、好きですよ!という返答を私はすぐにできない。

自分は、会話のために予め用意していた紙に返答を書いては急いで彼に見せる。

「えっと…もちろん、好き…ですよ!ですか、良かったぁ!」

『………?』

周りから見たら、きっと私達は本来出会うことのない世界でお互い生きている人たちだときっと思われると思う。

しかし、周りにどんな事を言われようとも人付き合いだって何だって身分の壁など本来は存在しないものであり、誰にでも平等で自由である。

これは私の。私だけの与えられた人生なのだ。

たった1度しかない人生なのだから。

「よしっ…では!手を差し出して貰ってもよろしいでしょうか?」

『………!!』

自分は言われるがままに彼の方へと恐る恐る手を差し出し

次の瞬間彼が私の手の上で、石を持っていたはずの手を広げると…

なんと、落ちてきたのは石ではなく小さな花々が舞うように落ちたのであった。

凄く綺麗だと。このマジックはどのようにやったの。とかをすぐに聞きたくても

この、返答を書いている間だけは時間が必要となってしまう

「この小さな花はAさんへのプレゼントです!」

「でも…ご安心ください!いつかもっと綺麗で素敵な花束を…貴方に見合う1番素敵な花をプレゼントしますから!」

貴方の優しさが眩しくて、羨ましくて。

この着飾られたドレスや誰もが羨むような高価なネックレスなどを捨てたら

私もこの運命と身分を捨てる事が出来るのだろうか。

__偽りの道化師__