【wrwrd!】いつか訪れる偽りの幸せを。 (ページ1)

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＊目次1 ページ1

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『…1つ聞きたいことがあるんだけどね。』

「ん?…ちょい待ち、何となく言いたいことわかるで。」

言葉を遮るように手をこちらに向けながら彼はそう言うと1人悩み始めていた。

こうなってしまうと自分としてできる事は、1人悩んでいる彼からの回答を待つのみ。

まぁ、先に回答を言おうとすると耳を塞いで怒られてしまうのもあるけど…

「…任せとき。聞きたい事よりも先に回答を述べたるで。」

「今日の放課後はコンビニに寄って私にアイス奢ってくれ!やろ?」

「正解やろ？な？な？」なんて付け足すように言いながら

あまりに誇らしげに言うものだから自分は呆気にとられた顔を向けつつ、1人クスクスと笑ってしまった。

『うーん…それが回答であるならば大外れだよ。』

自分がそう伝えると、え！？っと驚愕した顔を向けては「そ、そんな笑わんといて！！」そう言いながら恥ずかしがる素振りを見せる彼と

そんな彼の隣で笑顔を向けている私達は。

ごく普通の高校に通う学生同士であり

何不自由なく何の変哲もない日々を過ごしている

ただの幼馴染である。

「まぁでも、ええわ!今日は俺がアイス奢ったるから人気の商品の売り切れ前に早よコンビニ行くで!」

『ちょ!そんな急がなくても…!!』

制服の裾を引っ張りながら嬉しそうに前を走る彼…いや、私の幼馴染は

いつも明るくて、分け隔てなく誰にでも接するいわば漫画の世界のような人物を引っ張り出したようなクラスの中心人物である人だ。

簡潔に述べると、私とは真逆ような存在というべきである。

「チョコアイス好き言うてたよな!後で一口もらってええか?」

『シャオロン君の一口って半分くらいだよね…。』

まだ象徴とも言えるあの蝉の声は聞こえないが、もう直ぐ夏が始まろうとしている。

今日から夏服に変わった制服を身にまとい。

汗がつたる感覚と共に今日も冷えない夕方を駆け抜ける。

そう言えば、途中で話が脱線してしまい彼に聞きそびれてしまったよ…

"明日で幼馴染期間終了だね"

"最終日は幼馴染として何をしようか"

なんてね。

__偽りの幼馴染__