・一冊 ページ7
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「トントンさん、休息のお時間にこちらの本はどうでしょうか？」
「なんやエミさん。俺に本をお勧めするなんて珍しいやん。」
いえ、ここ最近とてもお忙しそうにしていたので。
少しでも休息のお時間の確保になればと…
ここの別荘に来る1週間程前だったが、同じ幹部である友人から言われた言葉を思い出した。
あの時は、ほんまに時間がないから直ぐに突き返してしもうたが。彼なりの気遣いやったんよな。
「………下巻、か。」
彼女がお勧めした本は、上下巻となっており下巻はなんと持ってきた10冊の中にないと言う形であった。
館内の本棚は1階にあると執事から聞き、
早速部屋へと入ったが流石は1国の総統の友人だ、本棚と言うよりは最早この規模は図書館だ。
これは見つけるには一苦労かもしれんな…
そう小さく呟きながら部屋へと入ると。
『トントンさん、何かお探しですか？？』
「……！！相変わらず驚かさずに登場する考えはないか。」
背後から現れる彼女には毎度驚かされてばかりだ。
彼女を敵国の人間ではなく、自国の者と認識してから何故だか彼女の気配を感じることができないのだ。
気配を感じることができないのは当然のことだが生き絶えた者や、機械などしかなく。
これまでの戦場でもなかった出来事やし、まさか3日で鈍って来ているのだろうか？
「…自分で探すからええ、君もここに用があって来たんやろ。」
『トントンさんの背中が見えたので！着いて来ちゃいました。』
決してストーカーではないです！
広い館内で迷子になってしまったのかと思って後をつけただけですと、口にして嬉しそうに笑う彼女。
__んな訳あるか。
このまま、1人で探すから良いと口にしたって無駄だろう。彼女は俺の悩みが解決するまでこの場を離れる気はないと言う表情やしな。
「…下巻を探しとる。」
「機械の少女の結末が気になんねん。」
自分は彼女から渡された上巻の本を見せ、
そう言葉を出すとキラキラと嬉しそうに彼女は笑い
喜んで！ご案内します！と俺の手を引き静寂が広がる本棚は彼女の明るさで騒々しい場所へと変わった。
『ハンカチのご用意は出来ておりますか？？』
「待ちいや。ネタバレ禁止やからな。」
存在を認知したらこんなにも煩い程に気配を感じる。
…すぐに、感知・認知できないのは。
今でも理由はわからへんのや。
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