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家主となる彼女への挨拶も終わり
今日から遂に自由な休暇期間の開始となる
せっかく得た時間なのだから早速休むとしようと
…と、言いたいところであったが。
『トントンさん！おはようございます！』
『急なお休みと言われても困るとお話ししておりましたよね!何冊か本を選んで持ってきました!!』
朝食を終え、早速部屋で1日の予定を考えていた所にノックもせずにバンッ！！と勢いよく扉を開けては明るく響く声。
「決めたッッ！！よく聞け我が友人よ！」
バンッ！！…この音、類は友を呼ぶと言うべきか。
部屋中に響き渡る机と叩き椅子を倒す音と勢いは、何処かの友人のたてる聞き覚えしかないものであった。
「…おはよう。ノックはせめてせぇや、相変わらず朝から元気やな。」
『お騒がせしました、今部屋に本をお入れしますね!』
そそくさと部屋を後にし、
廊下でガサガサと本を漁る音が聞こえ、女性の力で持ってこれるのは重い5冊ほどが限界だろうとみていた自分が馬鹿であった。
誰が見てもわかる、かなり無理をしているのだ。
片脚は重みにより少し引きずりながら部屋に本を運ぶ姿が見え…
「なっ！…俺が持つから、ええから！！」
「…っ、自分の持てる範囲は把握できるやろ！」
正に、見ていて危なっかしい。
心臓に悪いというのはこう言う事を言うのだろう
積み上げられた10冊の本を横目にそう感じる以外になかった。
『この中でのお勧めはこの本です！』
『機械である少女が様々な出会いと経験を経て感情を学んでいくストーリーです、こちらはハンカチ必須です。』
忙しないと言うのは正に彼女の事だ。
散々早朝から無理をした後に、今度はお勧めの本を隣で熱弁しているのだから。
「あー、分かった分かったから！早よ自分の部屋に戻りや！！」
「今日は1日部屋で休むし、気が向いたら本は読むから。」
そう伝え、無理矢理彼女の背を押し部屋から出して
急いでドアを閉める。
賑やかさは閉じた音と共に消え、静寂が流れる。
なんで今、俺はこんなに必死な顔をしているのだろうか。仕事でもなければ国に関係する事でもないんやけどな。
そう思いながら積み重ねられた中で1番上にある本…いや、彼女がお勧めと話していた本を見つめていた。
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