・一足 ページ5
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それは力強い声と勢い。
吹き抜ける波風により靡く髪を抑えながら、
夕日を背にした大胆な自己紹介の彼女に呆気に取られていたが…
後ろの海を見ると先ほどよりも強い波がきているのがわかり慌てて彼女の方へと走る。
この国の医療は確かに発展はしつつあるが、義足は防水の機能を搭載をしたまでとは耳にしたことがない。
となれば…海水は…。
「ち…ちょっと待ちいや！！濡れたらあかんやろ！」
『……？わっ！！！』
「…っ、足に水当たってへんか！？」
それは、一瞬の事であり。
咄嗟に自分が彼女の足から水を避けるには、
持ち上げる以外に選択肢は思い浮かばなかった。
自分の言葉に呆気に取られている彼女の顔を見ると。
次の瞬間には笑っていたのであった。
『兵士さん、力持ち！ありがとうございます！』
「なっ…足は大丈夫かと聞いとるんや!!話を聞けい！！」
引いた波の所にも水はある。
乾いた砂であり波が来ないであろう場所まで到着し彼女を降ろすと、些か嬉しそうな笑顔を向けていた。
夜になると波も近くなる可能性がある。
そろそろ戻ろうと彼女へ伝える…
『ん〜兵士さん、お堅い方だね！目の下のクマがそれが1番の証拠』
『この1ヶ月はゆっくり休んで…
そして「「A様！！」」』
何かを言いかけた彼女の言葉は執事により切られたが。
執事の険しさから見るとどうやら緊急の用事のようだ。
早よ行きや、俺は1人で戻れると伝えると彼女は寝落ちしたらダメだよ？と冗談を口にした。
どうやら体調不良の他の兵士さんの容態が少し悪いから、様子を見てくるね!と口にしては早々と去っていこうとする彼女は一度足を止め…
『兵士さん!!私!貴方のお名前聞いてなかった!』
『教えてーー!!!』
波の音に声をかき消されないためだろう。
少し遠い場所から大きい声で話しているがその声は煩いほど耳に届いている。
A。彼女は若くしてこの別荘の家主であり。
我が国総統…グルッペンの友人。
__そして
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「トントンや!!忘れたら承知しないで。」
俺を仕事に追われた国の書記から
どこにでもいる、市民へと変えてくれる
正に、自由奔放でお転婆な少女だ。
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