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海辺につけば心地の良い波の音だけが響く。
潮の匂いが波風に乗り自分の身体にあたる。
「驚いたほんまに綺麗やな…」
「それと…先ずは仮眠をとってからくれば良かったわ…」
戦争の世界とはまるでここだけは別世界とでも表せるような時間の流れの優雅さと静かさを感じる。
夕方にもなれば気温も真夏の暑さから程よい気温になる事もわかってはいたが、連続の睡眠不足には正直うたた寝するには完璧な空間だ。
「…あぁ。戦争のない世界まであと少しや。」
1ヶ月の休暇が終われば部屋には山積みの書類
国の諸問題や外交関係…
さて、これからをどう処理していこうか。
それもそうやが、1ヶ月戦争から目を逸らせば感覚が鈍ってしまうのではないか…なんて。
敵国からの侵略行為や和平を破る動きがあれば直ぐに帰らなアカンのやけどな。
そう考えている頃には既に自分は砂浜に腰をおろしては
静かに目を閉じ…子供のように疲れ果てて事切れるように深い眠りについていたんやけどな。
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たとえ、相手側に殺気はなくとも。
人の気配を感じる取るのは、
嫌でも戦争時や戦闘訓練時に培われた力だ。
これは1ヶ月の休暇だからと言い急に失われるものではない、確かに聞こえる眠りの中に微かに感じる足音と気配。
「………っ！！」
『っ！！…痛いっ！！！……』
相手の位置の確認と敵ではないことの確認
いつでも戦闘体制に入れるように直ぐに顔を上げると
額に走る激痛と聞き覚えのない声で目が覚める。
『ご…ごご、ごめんなさい！』
『てっきり、熱中症などで倒れているのかと…いてて。』
目の前を見ると。
私は決して敵ではないですぅ…ひぃ〜…
と、一際情けない声と共にぶつけ合った額を抑えている女性が1人。使用人の1人だろうか。
「…そうか。敵国の者ではないんやな、驚かせてすまん俺の悪い癖や。」
『とんでもない！お気になさらず…！それと』
『お夕食の時間になったのでお呼びに参りました！』
そう笑顔で話す彼女を改めて見ると額は真っ赤になっており、今度違う形で謝罪をせなあかんなと思う他はなかった。
『それにしても綺麗だよね。ここの海。』
『兵士さんも寝落ちしてしまう程、心地よいよね！』
海を見つめた後、振り返りながら自分に語る笑顔はまさに天真爛漫という言葉がピッタリな明るさだ。
これは自分には出来ない、純粋な気持ちの表れなのだろう。
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