・一街 ページ14
.
「…何を言うて、行くわけないやろ。」
「第一その身体で行くなんて、余りにも危険や。」
__確かに約束はした。
一緒に城下町を隅から隅まで練り歩くと
丸一日、２人で楽しむんだと。
だが、もしあの時のように…
「…はよ座って食べるで、ケーキの持ちはあまり良くないからな。」
『一仕事終えた後の甘いものはご褒美…だか……らっ、』
あの砂浜の時みたいに、倒れてしまったら。
俺には彼女を直接的に救う力はない
守れる医療が出来る能力はない。
『この抜け出し、総統様には秘密にしておくからさ！』
『…それに、約束でしょ？』
彼女は優しく小指を差し出しては
はにかむ様な笑顔でこちらにそう伝える。
恐らく拒否をしたとしても彼女は
いつもの様に隣を歩いてついてくるのは
安易に予想ができる。
そんなん、もうこちらのお手上げや。
「…っ、その交渉術何処で学んだんよ。」
「……分かった。夕方には此処に戻るそれでええな？」
.
.
「…さっきから見とるだけやけど、あまり買いたいもの見つからんのか？」
『今日はトントンさんと初城下町デートなので！思い出に残る1品をじっくり選びたくて！』
「……っ！？只の散策や、で、…デートやない！！誤解を生む発言すぎるわ！」
彼女には街についてから
散々振り回され続けているような感覚だ、
感覚で言えば遊び心満載の子供に手を引かれている様だと言ったら、きっと彼女は拗ねてまうな。
「……すまん、ちょっとこっち来てくれへんか？」
彼女を呼び小さく手招きを入れる…
魅力的？と言うやろかな…
多くのアクセサリーが置かれた中で自分の目に一際残るアクセサリーを手に取り…
慣れない手つきにはなるが、
痛みがない様に彼女の結ぶ髪に
"向日葵のかんざし"をさした。
「ん、…Aに似合うと思ってな。」
「あまりアクセサリーに詳しい訳やないけど…俺的に、な?」
勝手にすまんな１つの意見やから、
そう苦笑する様に鏡でかんざしを確認している彼女に伝える為に視線を移すと…
『…っ、その…あ、あありがとう！！』
『このかんざしにするね！！』
初めてや
理由は全くわからへんけど。
.
.
.
珍しくも
視線を逸らしながら、顔を赤くしている彼女が映っていたのだから。
.
続く
お気に入り登録で更新チェックしよう!
最終更新日から一ヶ月以上経過しています
作品の状態報告にご協力下さい
更新停止している| 完結している
←・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 78人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
