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「………大方、片付いたな。」
彼女から借りた本の返却や
備品の清掃なども大方の片付けは終わらせた。
この早朝の時間に静かにこの部屋と別荘を後にする。
後日、突然の退却に対する謝罪と2週間の急な滞在を許可してくれた感謝の気持ちとして別荘でお世話になった方々へ御礼の品を渡す準備をしなければ。
…彼女にも、何か用意しないとやな。
「…………。」
__たかが、2週間。
それまで、2週間という言葉を意識することはなかった
常に張り詰めた空気の中で生きた人生
戦争と隣には一歩間違えれば"死"が待つ。
それが、国の幹部である責任と責務。
部屋を閉める音.廊下を歩く音
物音１つ立てない動きは幼い頃から身についている。
途中、警備や見回りの方に遭遇してもうたら
これまで学んできた交渉術で回避。
初めて見た時には重厚感と威圧感を何処か感じた扉を開ければ海の近くともあり、海風が入り込む。
ドアの数歩先まで向い、荷物を置き…
__深々と、頭を下げる。
「…………っ！」
「…おまっ…なんで。」
そうだ後は、
この別荘地を後にするのみであった。
ただ、それだけであったのに。
本当に何も感知する事ができへんなんて
訓練された者でも無理なんてホンマに勘弁やわ。
その感知できない者が今後、人生で関わりのない者なら
よかったんやけどね。
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『流石トントンさん!随分と気合が入ってるんだね。』
『でも、こんな時間に城下町に行っても…みんな起きてないよ?』
何も変わらない笑顔と忙しなさ
出会った時から消えない煩い底なしの明るさ。
早朝の海風は強く、彼女の髪とワンピースが靡く
本当に眩しすぎるのにな。
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それでも俺にはやっぱり、感じ取る事ができへんのや
その感知できない君が
此処に"生きている"と言う事が。
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