・一約 ページ12
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「一日中慣れない仕事をして、お腹が空きすぎて…」
「挙句にショートケーキが食えへんくて3日も寝込む程食事が命なんやな、君は。」
あの夕暮れ時に一瞬のフラつきを起こした彼女と共に
『自分で歩くから大丈夫！』と、自身の足で別荘へと急いで向かってはいたが…
「A…！クソッ……意識がない。」
途中で糸が切れ気絶するかのように再度
倒れ込むような形になり、急いで別荘の医務室へと連れて行く形となった。
ただ医療の力がない自分にとっては、
彼女の体調が回復するのをただ待つ他無かったのだが
彼女の回復を待つ3日間の中で、何十人もの医師が館内を訪ねては去りを繰り返していたのを見届けるのみしかできなかった。
『えへへ…ご心配をおかけしました！』
『でも…トントンさんがせっかく買ってきてくれたショートケーキ…私のせいで浜辺に落ちて食べれなかった…』
完璧に体調が回復をしていない彼女の身体に
差し入れでケーキを渡すことは当然不可能だ。
俺が倒れそうになった彼女を支える為に手に持っていたケーキの箱を投げ捨てたのだから、責任は俺にあるのに
自分の責任にする所、何処か律儀な面もあるんよな。
「なら、はよ元気になれや。」
「君にとって世界で1番好きなショートケーキなら幾らでも俺が奢ったるから」
病み上がりとは思えない明るさを振りまく彼女は
ん！と自身の小指を立ててこちらに差し出し
所謂"ゆびきり"をしようと訴えているようだ。
『それはイコールで一緒に城下町に行く約束ということだよね？』
『じゃあ、絶対の約束ね！』
この歳にもなってゆびきりだなんて、
少々子供だましのような行為であるにも感じるが
「わかったわかった、絶対の約束…な。」
少し照れくささも残るが、
彼女と一つの約束を交わした。
他国にはもっと医療が発達した国があると耳にする。
今現在、彼女の体調不良の理由が不明というものから最新の医療機器や知識があれば…
…早期に彼女を病気や体調不良の理由が
分かり回復につながるかもしれない。
同じ病気を持つ市民を助けることができるかもしれない。
「…荷物、早纏めなアカンな。」
呑気に1人休暇期間など。
国の幹部である者が得ていい訳がない。
もう充分に休息はもらった。
後は全て国の為に…
そして彼女の為に。
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