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「…全く。今回は特に酷いクマだな」
「仕事を強制的に取り上げない限り、お前は休むつもりがないのか？」
そう口にしながら自身の目の下をなぞりはしているが
それは心配という言葉でなく、もはや呆れたような表情を向けているのは友人の…
__いや、我が国の総統だ。
「まぁ、今回の仕事が大変だっただけや。」
「国のトップさんに仕事を押し付ける書記がおったら、逆に注目されそうやな。」
そんな冗談を言っている暇があるなら、早よ寝ろ。
自身が渡した書類に目を通しながら呟く彼に珈琲を準備するまでが自分の深夜の日課だ。
最近は目立った動きをしている国も少ない。
前回の戦争で傷を深く負った自国の兵士…
いや、仲間達の療養期間も確保ができよかったものだ。
「最近は近年稀とも思える程、国々は平和だ。」
「お前も休暇期間を作ったらどうだ。」
用意した珈琲に角砂糖2つ程入れ
ゆっくりとかき混ぜる際に響く金属音。
お互い話し好きな者が集う空間にしては、
酷く珍しい沈黙が流れた。
「冗談やない、休暇期間を終えた後の書類の山を想像してもうたわ。」
「考えただけで恐怖ものや。」
さて…そろそろ、お暇させてもらうわ。
今日はよく寝るようにすると、その言葉を最後に総統の部屋を後にしようと思いドアノブに手をかけると共に…
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「決めたッッ!!よく聞け我が友人よ!」
バンッ!!
部屋中に響き渡る机を叩き椅子を倒す音
何十年も一緒にいれば分かる
そうだ、この時の友人の発言はろくでもない。
「お前は明日から"1ヶ月間"の休暇期間だ!」
「これは総統命令だッ!」
「例え友人であり、優秀な書記であっても逆らう事は許さん。いいな?」
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「………は?」
「家主の自由奔放でお転婆な私の友人によろしく頼むで。」
この言葉の後、時計の針は0時を指し共に自分の夏は始まった。
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