《第1章》輝き ページ5
「はい、ココまででストップ!ソーセージパン売り切れです〜!」
いつもソーセージパンを売っているおばちゃんの声が、購買に響いた。
腹が減りすぎて気づかなかったけど、いつもパンが入っているカゴは、空だった。
”ココまで” そこに私は入らない。私の前の人で終わってしまったのだ。
後ろからは食べられなかったことを惜しむ声が聞こえた。
私は固まってしまった。
空腹で餓タヒしそうな私に、この現実はあまりにも受け入れ難いものだった。
初めて食べた高一の夏。ちょうど一年前。
感動した。この世にこんな美味いものがあるなんてって。
神様はなんて不平等なんだ。
後ろから聞こえていた声はやがて少なくなっていった。
あぁソーセージパン……
_______
__________
夏の暑い日差しが私に降り注いだ。
気づけばもう7月。
歳をとるほど時間が早く過ぎるって聞いたことがあるけど、ほんとにその通りだと思う。
ココは私が大好きな場所。
空には夏らしい入道雲が立ち上っている。
屋上。昼休みの屋上は結構人がいる。
皆楽しそうに笑ってる。
それに対して私の心は空っぽで、何もない。
ソーセージパン。こんなこと引きずるなって思われるかもしれないけど、私にとっては大きな事だった。
きっと買えてたら、私もニッコニコで食べていたんだろう。最悪すぎる。
ぐーっと、腹が鳴った。
貧困国の人達はこんな空腹に耐えながら生きているのか。凄いなあ。
でも、ソーセージパン以外食べたくなかったから何も買わなかった…いや、皮肉を込めて買わなかった。今では後悔している。
信じられないほどの空腹と、購買から屋上までの長い距離を歩いてきたこともあり、クタクタだ。
倒れそうな足取りで、とりあえずベンチに座った。
すると、周りの人が私を見て少し離れたところに座った。
そんなに負のオーラを出しているのだろうか。仕方ないことだけど、そんな反応されるともっと辛い。
午後からの授業。なんもやる気が出ない。虚無感。
ああ、もうヤダ。全てを諦めきっていた時起こった。
私のじゃない影が地面に移る。
私は一瞬状況が理解できなかった。
私の目の前に未開封のソーセージパンが差し出されたのだ。
____これ、食べるかい?
___________
38人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
下田(プロフ) - necoさん» 良かったです!!このままで書こうと思います✨コメントありがとうございました🙇♀️ (2022年10月29日 22時) (レス) id: 2bbe31fb0f (このIDを非表示/違反報告)
neco(プロフ) - 検索から発見しました!全然文字数大事だと思います!内容盛りだくさんでサイコーです! (2022年10月29日 21時) (レス) @page6 id: e842605c75 (このIDを非表示/違反報告)
下田(プロフ) - よよよの鬼太郎さん» わわわ…ありがとうございます(><)めっちゃ嬉しいです😭これからも頑張ります❤️🔥❤️🔥❤️🔥 (2022年10月29日 21時) (レス) id: 2bbe31fb0f (このIDを非表示/違反報告)
よよよの鬼太郎 - 検索から見つけました!個人的な感想になってしまいますが、全然よみにくくないですよ!むしろ文字数が多い方が満足感があって私は好きです!これからも応援してます✨ (2022年10月29日 16時) (レス) @page6 id: b96fdc6da6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:下田 | 作成日時:2022年10月27日 18時