#出会い ページ5
そいつは或る組織にいた。
その組織は命令通りなら殲滅するはずだった。
しかし資料には載っていなかった異能力者が発見された。
そいつは緑色に光った箱のようなもにはいっていた。半透明の中にうっすらと人のような物が見えた。
銃弾やナイフは効かず、異能を使って殴ってみても側面が少し凹み転がっていっただけだった。
つまり殺すためには太宰の異能無効化が必要なのである。しかし太宰は今日は別の任務に行っていた。異能無効化無しで、どうにかしてこの箱を壊すしかないのである。どうやったら壊れるのか、それとも持ち帰るか、と色々考えていると箱の光が強くなった、途端
壁が消え膝を抱え込んで倒れている少女が現れた。
少女は床に転がったまま激しく咳をして、血を吐いた。今にも死にそうである。
近づいて声をかけた。
「おい、さっきの箱みてぇなやつは手前の異能か?」
少女は咳をしながら顔をもたげうなずいた。
「手前以外、仲間全員が死んだのはわかるか。」
少女はまたうなずいた。
「此処が何をしていた所か知ってるか?」
今度は首を振った。そして咳をしながら起き上がり言った。
「私は何をすればいいのでしょうか。」
「手前が死ぬか俺らを殺すかだな。」
「私は今まで人を殺す命令を受けたことはありません。私は盾です。守るだけです。」
少女は立ち上がって此方を真っ直ぐ見つめた。
呼吸も安定してきたようだ。
「ほー、盾か。じゃあ今俺を守れっつったら守んのか。」
いつの間にか俺はこいつを殺すことを躊躇っていた。
「それが命令であるならば、あなたを守ります。」
「そいつはありがてぇ、ちょっとついてこい。」
︙
︙
こいつは命令ならば何でも聞くようで、敵味方の区別もないようだった。
一度首領に見せてみるのも良さそうだと思ったのだ。
駄目ならば大人しくするよう命令を下し、殺せばいい。
︙
いつでも殺せる。
殺せばいい、そう思っていた。
殺せないと思う日が来るなんて思っていなかった。
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作者名:サモエド | 作成日時:2018年4月17日 1時