拝啓、八月の空を飛んだ君へ。 (ページ7)

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驚いて僕はサイダーを落とした。

彼女がこちらに気付いて、僕にふわりと笑いかけて言った、

「あ…人、きちゃった…笑」

眉毛を八の字にして困った表情を浮かべていた。

何も言えずに立ちすくんでいると、彼女はゆっくりと口を開いて話し始めた。

「私ね、疲れちゃったんだ。
いじめにもあってないし、友達もいる。
両親にも深い愛情を注がれてる。
成績もいいし、特に悪い事はない、
けど、このままでいいのかなって、
楽しくなくなっちゃったんだ。
本当は死にたいわけじゃない、生きたいわけじゃない、ただ、消えてしまいたい。
誰の記憶にも残らず、いなかったことにしたい。
それができないからこうするんだ」

と彼女は言った。

続けて僕にこう言った。

「最期にこのどうしようもない感情を誰かに話せてよかった、未練はなくなったかな？」

と、笑いながら。