帝国の華が芽吹く時【WT】 (ページ4)

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非日常を味わいたくてページ4

いつも通りの授業。

いつも通りの書類整理。

全部、全部いつも通りで退屈な時間。

私の家には掟がある。

その1、公務以外での外出は禁ずる。

その2、1人で勝手に部屋を出ない。部屋を出る際はメイドか騎士と共に行動すること。

その3、認めた結婚以外の恋愛は禁ずる。

この3つである。

皇族だからなのか異様に厳しいこの家系。

百歩譲って恋愛なんてしなくてもいい。

恋愛なんてものは私には無縁なんだから。

だけど1人で部屋も出れないって何？

小さい子供なんかじゃあるまいし…

いくらデビュタント前だからって扱いが酷い。

こんなの家畜と変わらないじゃない。

こんな日常にはもううんざりなの。

授業と仕事ばっかり…部屋も出れやしない。

1人で歩くことすら許されない。

そんなの私には合わないの。

『こんな事したら怒られるでしょうけど、反抗期ってことで…いいわよね？』

私は部屋の扉に魔法で結界を張る。

なるべく頑丈に、簡単には開かないように。

『よし、次は…』

扉を閉めた後には窓の方を向き、窓をゆっくりと開ける。

空は青く澄み渡り、そよ風が心地よい。

『いい天気…出かけるにはちょうどいいわ』

パチンッと指を鳴らせば次の瞬間には浮く体。

私の得意とする【浮遊魔法】。

『座標は…そうね、デビュタント後に行くWT王国にしましょう！【テレポート】！』

そう声に出せば途端に景色が変わる。

主に白色の建物が並ぶ街並み。

シンプルだけれど美しい街。

『ここが…WT王国。凄く、綺麗…』

1人で来る初めての外、初めて見る街並みは私に非日常的気分を味わわせてくれた。