愛を知りたくて ページ17
彼らと会ったその日の夜。
私は酷く怒られた。
何故国外に出たのか。
何故護衛すら付けなかったのか。
勝手にいなくなるな、と怒られた。
普通なら心配させてしまった、と反省するだろう。
だけど私は違う。
この人達は私のことなんて愛してない。
この人達は…私の魔法の価値だけを見てるんだ。
私自身を見てくれない両親のことが嫌いだ。
私の魔法が治癒魔法なことを知ってから、2人とも変わってしまった。
まだ魔力が安定していない4歳まではごく普通だったと思う。
……いや、2人とも仕事が忙しくてあまり会っていた覚えはない。
魔力が徐々に安定し始めた5歳の頃に、自分の魔法がどんな物か特別な儀式で見ることができる。
お父様とお母様の私への態度が変わったのはこの日から。
治癒魔法を使えることがわかってからだ。
私はこの時やっぱりお父様とお母様は私を愛してくれてるんだ、なんて心の底から信じてた。
でも違った。
私が大きな怪我をしたならば、「貴女は自分を大切にしないと！貴女は貴重な魔法も持ってるんだから気をつけないと」なんて言われた。
この時に気付いてしまった。
私自身は愛されてないのだと。
2人は貴重な治癒魔法だけを見てる。
私なんかどうだっていいんだ。
じゃあ今までのは愛なんかじゃなかったんだ。
この時、私の中で愛情というものがわからなくなった。
愛って、なんなんだろう？
私は…どうしたらいいの？
心にぽっかりと穴が開いた気分だ。
私は幼いながらにも、愛想笑いをするようになった。
決して本心がバレぬように。
隠し通して、この帝国の皇女として愛される存在になるように努力した。
そして今の私になった。
帝国の華だなんて呼ばれて…
愛なんて知らないのに。
私だって、心から国民を愛したいよ。
誰か、教えてほしい……
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作者名：赤羽るな | 作成日時：2023年4月10日 15時
