隣のばか兎

・12・名前 ページ12

パンっ！！






審判の合図で






騎馬戦 男子の部が始まった







ﾖｼﾞｬ1「いけー男子ィ！！」

2「そこそこ！肩押して！そう！いえす！ないす！」

3「まってグク君が大将行くっぽい！」

4「グク君！がんばー！」





応援席の女子が荒ぶるように男子の応援をする



やっぱ見てる側でも盛り上がるよねこの競技って






「…兎」





兎に手当してもらった足をじっと見ていると



さっき兎が言った言葉がよみがえってきた





"『俺、大将倒してくるから』"





あの時の兎の背中は、いつもより逞しく、デカく見えて




一瞬だけ、、カッコイイって思ったんだよね







「きゃー！！グク君がピンチ！！」

「がんばってー！！」







足に集中していると、
応援席の女子がさっきよりだいぶうるさくなった




私は咄嗟に校庭を見ると、赤組の大将と白組の騎馬が戦っていた




もうこの2組しか残っていなくて、




しかも白組の騎馬…兎の騎馬がやられそうだった





兎の表情はキツそうで、服は引っ張られ伸びきって、首には爪の跡がくっきり見える









私の為に…ホントに大将倒そうとしたんだ…








なにカッコつけてんだよ







兎のくせに。







これじゃ、応援してやんないといけないじゃん







「…っ、 」







私の足の事を誰よりも先に気づいて手当してくれた





白組に負担を掛けて落ち込んでる私に、"大将を倒してやる"って言ってくれたんだ





応援くらいしてやんなよ





私のバカ








「…がんばれ、、」








もっと大きい声で








「チョン…、、」








あいつの名前を呼んで









「ジョングク！！！」









あいつに聞こえるように









「負けんな！！」







「頑張って！！」








すると、兎は私の方を向いて






ふっ。って、




鼻で笑うような





けど、どこか優しい笑顔で






"「おう」"って。






ここまで聞こえてこなかったけど、






でも間違いなく、そう口を動かしてた

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