ソレヲ人ハ恋ト言ウ

玖の巻　2 ページ11

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「ははっ、皮肉か？俺が見込んだお前だ。名は何と申す？」

「津々楽和歌と申します。貴方様は？」

性格がひねくれてやがる。津々楽和歌、遊女や花魁から呼ばれていた名前だ。遊女名に違いないだろう。

吉原に疎かった俺でも知っていたこと。こいつが知らなかったわけがないだろう？

「お前、本名は言わない性格か？まぁ、いい。俺は浦田渉。それと、俺は大大名ではない。まだ家督は継いでいないからな。」

くだらないことまで言ってしまった。本名のしれぬ女に。

「・・・・・・・・貴方様とは真底気が合いそうです。」

なにを考えたのか、嬉しいのか悲しいのか、やはりこの女は読めない。面白い。だから俺が吉原に通ってまで会いたくなる女だ。

それと、遊女らしくない。こいつを浦田に連れて帰って俺の大事な家臣に会わせてやりたい。

合う男が一人はいるだろう。合わなかったら家康様にでも献上すればよい。

「奇遇だな。俺も今そう思った。」

おかしいくらいに気が合うこいつのことが気に入った。

買ってやろう。この吉原の夜が過ぎ去ったら。

まだ夜は続く。

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