それでも側に ページ47
「……っ」
「嘘をついて、ごめんなさい。…約束を守れなくて、ごめんなさい。」
静まり返った部屋、一通り話し終えた私は実弥さんに頭を下げた。
あの日の戦いは、皆自分のことで精一杯だったから、どういう風に戦ったか実弥さんは知らないでいた。
上弦の肆と戦ったことも、何も。
そして実弥さんはゆっくりと口を開く。
「……分ぁってたよ」
「え？」
「あの時、最期の時。お前が嘘をついたことも、もうお前がいなくなっちまうってことも…」
「……っ」
「薬で治るそんな傷じゃなかった…。」
「……実弥さん…っ」
「あの時、離れたくなかった。お前を置いていくなんてそんなの選択肢にもなかった。」
「……っ」
「でも、最期に笑ってくれただろ…」
「………」
「最後のあの会話のとき、笑顔で話してくれてた」
「……っ」
「お前が全部俺のためにしてくれたことを、無駄にできねぇと思った」
「……っ」
「お前の為にも、今まで死んでいった仲間たちや家族の為にも、あいつを倒さないとって思った」
「…はい。」
「でも、俺は……」
そう言うと実弥さんは小さく身体を震わせた。
何かを我慢するかのように、大きく逞しいその身体が一回り小さく見えた。
「…俺は、お前の側に…いたかった…」
「………！」
昔からこの人は、あまり自分の気持ちを言葉にしない人だった。
前世で出会ったとき、心を開いてくれるまで数ヶ月はかかったし、過去の話をしてくれたのは本当に死ぬ少し前。
鬼殺隊員に対しても、そして弟の玄弥に対しても、
冷たくあしらってしか接することが出来ない不器用な人であった。
それが今、肩を震わせながら過去の想いを、気持ちを話してくれる実弥さんを見て、私の涙腺が崩壊した。
逆の立場だったら？…そう考えてみた。
…私なら耐えられそうにない。
鬼になった母親を兄弟を守るために殺し、守り抜いた玄弥からは罵られ、それでも一人で鬼を倒しながら生きた。
やっと出会えた信頼できる兄弟子は、共に鬼と戦いその生涯を終え、弟の玄弥は自分を守ってくれた実弥さんを鬼になってでも守ろうとし、結果亡くなった。
そして私は実弥さんの盾となり、結局息絶えた。
そして実弥さんは言葉を発する。
「……俺はもう、お前を失いたくなかったんだよ…」
その言葉を最初に、ゆっくりと話し始めてくれた。
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苺 - 富岡じゃなくて冨岡ですよ ！あと私、実弥さん好きなのでめちゃめちゃこの作品好きです !! (2021年2月28日 14時) (
レス) id: 8cc7755bea (このIDを非表示/違反報告)
結愛(プロフ) - 唯梨さん» 嬉しすぎるお言葉！煉獄さんのはぱっと思いつきで(笑)またいらしてください！ (2021年1月22日 16時) (レス) id: 3d4a15fd31 (このIDを非表示/違反報告)
結愛(プロフ) - bell103ntさん» 嬉しすぎます！完結に向けて頑張りますね！ (2021年1月22日 16時) (レス) id: 3d4a15fd31 (このIDを非表示/違反報告)
唯梨(プロフ) - キュン死しそうです…！煉獄さんのあだ名が残り物掃除機なのめちゃくちゃ笑いましたww！更新楽しみにしてます！！ (2021年1月22日 16時) (レス) id: 10a0ab61a8 (このIDを非表示/違反報告)
bell103nt(プロフ) - 通知来るたびに速攻で来てます！！！任せてください！笑 (2021年1月21日 16時) (レス) id: b46ea41f08 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：結愛
| 作成日時：2020年12月31日 14時
