素直な気持ち ページ36
そしてここからは時間との格闘だった。
周りが次々とスタイリングが決まっていく中、
俺は未だに着替えさせられている。
着替え終わり試着室のカーテンを開け、これで終わってくれ、なんて願いを込めてAを見たが、
毎回毎回満面の笑みで拍手して、手を顎に持っていきうーんって考えることの繰り返しだ。
「Aちゃん、決まった？」
なんて先程の爽やかイケメン店員が様子を伺いにくるのもこれが初めてではない。
「いえ。…ていうか、決めれそうにありません。」
「なんで？」
「いやだって、どれもかっこよすぎません！？
こんな人この世に存在したのか！ってぐらい！」
「……」
嬉しいんだけどよ、そう言ってくれんのは。
そろそろ疲れてきたし、後大声で言うなよ
周りの視線気になっから。
あと5分で決めてねー、なんてまたもや爽やかに消えてった店員。
とりあえず着替えは終わったが
今度はスマホに残しておいたコーデ写真たちと
睨めっこをするA。
明らかに頭を抱えてるもんだから、それが可笑しくて仕方ない。
「おい、A」
「はい！？」
「そんなに悩むもんなのか？」
「いやだって選べないですよ！どれもかっこよすぎて！」
「いや、どこがだよ」
「全てですよ、全て！実弥さん目おかしいんじゃないですか？」
「おい、褒めてんのか貶してんのかどっちだよ！」
「褒めまくってますが？」
「ははっ、そうかよ」
本当、気づいたら笑ってんだもんなぁ。
今も昔もこいつには調子狂わされてばっかりだ。
うーん、と悩み続けるAが可愛くて
ぽんっと自身の右手をAの頭の上に乗せた。
瞬間、Aの視線はスマホから俺に移る。
「ありがとなぁ」
「へっ？」
「やっぱお前といる時が一番楽しいわ」
ふっとAに笑いかけると
Aは頬を赤く染めた。
現代で再会し、初めて素直に言葉を発せられた。
マイナスの気持ちは何もかも忘れて、
今目の前にいるAだけを想った。
照れたAは、その後すぐに満面の笑みを俺に向けて。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 199人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
苺 - 富岡じゃなくて冨岡ですよ ！あと私、実弥さん好きなのでめちゃめちゃこの作品好きです !! (2021年2月28日 14時) (
レス) id: 8cc7755bea (このIDを非表示/違反報告)
結愛(プロフ) - 唯梨さん» 嬉しすぎるお言葉！煉獄さんのはぱっと思いつきで(笑)またいらしてください！ (2021年1月22日 16時) (レス) id: 3d4a15fd31 (このIDを非表示/違反報告)
結愛(プロフ) - bell103ntさん» 嬉しすぎます！完結に向けて頑張りますね！ (2021年1月22日 16時) (レス) id: 3d4a15fd31 (このIDを非表示/違反報告)
唯梨(プロフ) - キュン死しそうです…！煉獄さんのあだ名が残り物掃除機なのめちゃくちゃ笑いましたww！更新楽しみにしてます！！ (2021年1月22日 16時) (レス) id: 10a0ab61a8 (このIDを非表示/違反報告)
bell103nt(プロフ) - 通知来るたびに速攻で来てます！！！任せてください！笑 (2021年1月21日 16時) (レス) id: b46ea41f08 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：結愛
| 作成日時：2020年12月31日 14時
